8.子供の願い

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「どうぞお入りください」  ドアが申し訳なさそうにギイイと開いた。  薄緑色のドアの間から、バツの悪そうな顔をした男女が女の子を連れて現れた。 「望!」  中村とめぐみが同時に叫んだ。 「本物の望だわ!」  叫んで駆け寄ると、ひったくるように望を抱き寄せた。 「どこも怪我はない? 大丈夫?」 「……で、こちらは」  中村が首を傾げた。 「もしかして、誘拐犯……?」 「違います」  由目木はたしなめるように言った。 「望さんは自分の意志で家出をしたんですよ」
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