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「じゃあ……」
誰、と中村が言いきらぬうちに翼の口から嗚咽が漏れる。
「お父さん」
ぱたん、ぱたん、確かめるように何かに耐えるようにゆっくり翼の足が動く。
「お母さん」
「翼!」
「翼。 ごめんね」
翼が駆け出す。
受け止める四本の腕の中で、泣き声が弾けた。
「あっという間に二つの家族の出来上がり」
大木がつぶやく。
「ちゃんと話し合って下さい。まず、子供の話を聞いて、って誰もあたしの言うことなんて聞いていないね」
由目木は肩をすくめた。
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