8.子供の願い

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「じゃあ……」  誰、と中村が言いきらぬうちに翼の口から嗚咽(おえつ)が漏れる。 「お父さん」  ぱたん、ぱたん、確かめるように何かに耐えるようにゆっくり翼の足が動く。 「お母さん」 「翼!」 「翼。 ごめんね」  翼が駆け出す。  受け止める四本の腕の中で、泣き声が弾けた。 「あっという間に二つの家族の出来上がり」  大木がつぶやく。 「ちゃんと話し合って下さい。まず、子供の話を聞いて、って誰もあたしの言うことなんて聞いていないね」  由目木は肩をすくめた。
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