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「でも今さら……」
「今さら？ だって翼は望ちゃんの気持ちがよくわかったから、今回の家出に協力したんだよね。それってつまり」
由目木はかがんで翼と目を合わせた。
「翼も望ちゃんと同じ気持ちだったからじゃないの？」
「あの、すいません。私、この子が劇団の合宿に行く、って言うから全く気がつかなくて。参加用紙にちゃんと記入して費用も一緒に持たせたので、まさかこんなことになっているなんて」
「当然です。普通、小学四年生の子供がこんなことをするなんて思いませんもの」
由目木はにこやかに受け流し、翼は首をすくめる。
「先程、濱田様より合宿費用をお預かりしましたのでお渡しします」
由目木は白い封筒を差し出した。
「受け取れません。うちの子が勝手にしたことですから」
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