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「波多野様の出された費用で望さんは合宿に参加したのですから払わせてほしい、巻き込んだうえに、翼さんが合宿に参加できなくなったことを申し訳なく思っていると濱田様がおっしゃっていました」
「嘘をついてごめんなさい」
翼がぺこんと頭を下げる。
「ねえ、ひとつ聞きたいんだけど」
「何?」
由目木にぐいと顔をつきだされ、翼は怯えたように後ずさる。
「どうして、こんな面倒臭いことを思いついたの?」
「望ちゃんが家出したいけど、行くところがないって言っていたから丁度いいと思って」
「丁度いい、だなんて」
呆れた、とつぶやいた後、翼の母親は慌てて「すみません」と頭を下げた。
「いえ。それよりちゃんと話を聞いてあげて下さいね」
「はい。ご迷惑をおかけしました」
翼の父親も一緒に頭を下げた。
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