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「疲れましたね」
「ハッピーエンドなんて作れるもんじゃないからね。なるようにしかならないわ。でも、本当にアンハッピーなことなんて実際にはそんなにないんじゃないかしら」
「……由目木さんって本当にポジティブですよね」
「人生に無駄な経験はない。全部幸せになるための試練なのだ、と考えたら不幸は不幸じゃなくなるでしょ?」
「ずるいなあ。そう言われたらそうですねとしか言えなくなります」
大木は腕組みをして眉間に皺を寄せた。
「でも、万年ポジティブでいるのも疲れませんか?」
「時にはね」
由目木はうっすら笑う。
「さっきの光景はちょっときついよね。特に子供がいるとね」
「まあ、いろんな意味できついですね」
「がんばってもどうにもならないってことはあるし、壊れていても家族は家族で、あたしたちが立ち入れるものじゃない。結局何もできないんだってことをはっきり思い知らされちゃった感じね。そりゃきついよ。金もらって何やってんだ、とも思うし」
「そんな顔をしないで下さい。らしくないです」
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