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10.共犯者は別にいる
「そもそも、今日、どうして翼の親も呼んだんです?」
「うーん、一番気になったのは翼だったんだよね」
「まあ、最初の依頼者ですからね」
「なんていうか、すごい子よね」
「すごい子?」
「知能犯。末恐ろしいわ」
「まあ、子供らしくない子供でしたね」
でもそうなったのは、周りのせいなのだ、と大木は思う。
「普通ならきっと、一緒に家出してあげる、ってなるはずよ」
既に由目木は快活さを取り戻し、大木から離れ、狭い事務所の中を徘徊している。
「でもそうしなかった。なぜなら翼の家は母一人子一人だから、いなくなったら大さわぎになるとわかっていたから」
「自分の親には心配をかけず、望の親には心配させる。本来なら翼が家を出る必要なんてなかったのに」
「男子の純情をなめちゃいけませんよ」
大木の言葉に由目木は足を止めた。
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