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「僕としては今の姿の由目木さんと食事に行きたいんですが」
「えー、それどういう意味?」
「だって見た目がすごく普通ですよ」
「見た目が普通? じゃああたし、いつも見た目が普通じゃないってこと?」
「自覚ないんですか? 翼にも言われたじゃないですか。ド派手ですよ。もう五十メートル先からああ、由目木さんだってわかるくらいの感じです」
「嘘!」
「嘘じゃないです」
「じゃあ、あたし、今、オーラ消滅?」
「探偵にオーラは必要ありません。どちらかといえば邪魔なぐらいです」
「カリスマ性は?」
「早く肉を食いに行きましょう。僕には縁がないと思っていた、さぞかしいい肉を置いているんだろうなという感じの店構えのうまそうな焼肉屋が駅向こうにできたんです」
「今、あたしを無視したでしょ?」
「ぼくの頭の中は肉でいっぱいです。今はそれ以外のことは入る余地がありません」
「頭の中が肉でいっぱい、ってリアルに想像すると気持ち悪いな」
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