プロローグ(5)

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プロローグ(5)

「……叔母さん、この家……お団子屋を継ぐ人がいればいいんですか?」 「え? そうね……話し合ってみないとわからないけれど、継いでくれる人がいるなら残せると思うわね。……まさか」  しっかりと頷いて答える。 「私が継ぎます。これからは、この家もお団子屋も私が守っていきます」 「な、何を言い出すの……そんなのダメに決まっているでしょう。 あなたはまだ高校生なのよ!?」 「確かに私は高校生で子どもかもしれないですけど……でも、高校生だって自分のことくらい自分で考えて決められます! 私の未来を勝手に決めて大切な場所を奪わないでください!!」  どんなに反対されても、私はお店を継ぐ。元々そのつもりだった。少し先の未来が、今やってきただけのこと。あれだけお団子屋をやると言っていて、今やり始めなければいつできると言うんだろう。 「…………」 「…………」  息苦しいほどの重い沈黙の中、どう叔母さんを説得するか必死に考えていた。  しばらくして、ふうーと長い息を吐いた叔母さんが厳しい口調で尋ねてくる。 「……花帆ちゃん、お店を継ぐと言っても学校はどうするの。辞めるつもりなの?」  やえおばあちゃんが、いつも私を気遣っていたことを思い浮かべた。 「……きっとお店のために高校を中退したら、おばあちゃんは悲しむはずだから……それはしません。だけどお店もやります。両方ちゃんとやります」 「…………」 「……叔母さん、この場所でおばあちゃんと一緒にお団子屋をやれなくなったら私の夢もなくなっちゃう。全部無くしちゃうんです……」  お願いします、と向こうには見えなくても必死で頭を下げた。 「……わかったわ。あなたのやりたいようにやってみなさい」 「叔母さん……!」 「ただでさえ辛い思いをしているあなたをこれ以上悲しませたら、姉さんに怒られてしまうものね。……他の親戚の人には私がきちんと話を通しておいてあげるから、頑張りなさい」 「ありがとうございます……!」  救われた気持ちで喜んでいると、「ただし、ひとつ条件があります」と厳しい声で叔母さんが言った。
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