家に帰ったら見知らぬ美形がいたんですが

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「俺がアーシャを――お前を間違うはずがない」 「いや現在進行形で間違ってますが!?」  いっこうに開かない扉にやけくそになって、よく見ろとばかりに光り輝く美貌の闖入者(仮)を振り仰ぐ。  しかし。 「ああ、やっとこちらを向いてくれたな」  語彙を失うような美貌を誇る闖入者(仮)は、蕩けるような笑みを浮かべて喜ぶばかりで、人違いに気付く様子が見受けられなかった。 (……ど、どういうこと?)  戸惑っている間にも、愛しさを煮詰めたような瞳で私を見下ろすその人は、そっと私のおとがいをとって、私の瞳を覗き込んだ。 「ああ――変わらない。器は変わっても、その魂を映す瞳はやはり変わらないな」 「え……?」  万感の思いを感じさせる声で紡がれた言葉に驚愕する。 「た、魂って、今……」 「? 何を驚いている?」 (魂を見極められるって、それは、つまり、この人は人ではない……『上位者』ってこと……!?)  『上位者』。この世界の運営に力を貸しているという人外の者たち。それらは様々な種族がいるが、総じて人よりも長く、永い生を生きるものだ。 「あなた、『上位者』なの……?」
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