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「だから俺は、約束を果たしに来た。さあ、アーシャ。俺たちは再び出会った。俺はお前を変わらず愛そう。だから――俺を、愛してくれ」
それが、当然のことを言っているような表情をして言われたのなら、セーラは「いや私とあなたは出会ったばかりですし」とやんわりいなしたが、どうしてか、彼は――フィデルは、今にも泣きそうな表情で、縋り付くような声音で伝えてきたので――。
「……まずは、間違いを正します」
「……アーシャ?」
「私は『アーシャ』じゃありません。記憶もありません。ただの『セーラ』です。その……約束についてだって、微塵も覚えがありません」
「アー……」
『アーシャ』と紡ぎたかったのだろう唇は、それを最後まで紡げずに――紡がずに、つぐまれた。
ああ、大丈夫、話が通じる、とセーラは思う。
「それでも、あなたが私の魂だけを見て、『アーシャ』と呼ぶのなら、私はあなたを愛せる気はしません。でも、もし、あなたが――『アーシャ』とそうしたように、私と時間を過ごして、心を近づけて……そういうふうに歩み寄ってくれるのなら。約束が果たされる可能性は、ゼロじゃないと思います」
「それは……」
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