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何かを言いかけて、けれどまた口をつぐんで――。
「……わかった」
どこか迷子のような目をしていたフィデルが、セーラを初めて、しっかりと認識した――そう感じた。
「そうですね。まずは常識を、私に説かせてもらえますか?」
「……常識?」
「家主に無断で家に上がり込む行為は、犯罪ですから! 二度とやらないでください!」
セーラの勢いに押されたように、フィデルがこくこくと頷く。
そこでやっと、見知らぬ人物が家に上がり込んでいたことによるセーラの極度の緊張は、解かれたのだった。
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