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拝啓、親愛なるホラー作家さま
ピロン♪という通知音と共に小さな小鳥のマークがつく。
きた! 今日はタイミングが良かったと、私は自分のスマホに手を伸ばした。
もうすっかりルーティンと化した、私には毎日の楽しみがある。
それは僅か140字で綴られる意味が分かると怖い物語、短ホラを読むことだ。
様々な仕掛けの施された物語を読み解き、リプを入れ返信を待つ。
その一連の流れがこの上なく私をワクワクとさせてくれるのだが、おかげで私の脳はすっかりホラー色に染まってしまった気がする。
中でも特に気に入っているのは、謎解きを扱った作品だ。
必ずホラー絡みの答えとなるので一見簡単なようにも思える。しかしながら、これがなかなかに容易ではない。
何がなんでも一番に解いてみせる! と必死になって脳をフル回転させて挑んだ。
すぐ解ける日もあれば一日中頭を悩ませる日もあったりで、今思い返してもあれは楽しかった。本当に楽しかった。何度でも言おう、楽しかったったら楽しかった。
毎日配信される短ホラ。
遅れての紹介となるが、作者は『藤白圭』という新進気鋭のホラー作家さまだ。
驚くことにその掌編は、執筆を開始してからの数年間、毎日1日も欠かすことなく綴られているのだという。
この信念に尊敬をも通り越して畏怖すら感じるのは私だけだろうか。
努力は必ず報われるとはよく言ったもの。
気づけばそれらの物語は書籍という形で全国へと発信され「意味怖」シリーズとして累計36万部超という偉業を成し遂げてしまった。
快進撃はとどまることを知らず、またもや5冊目となる新刊が発売されるというのだから凄いとしか言いようがない。
ちなみに。私は手に入れることが困難だと思われる場合以外、書籍は書店で購入するものと決めている。
単純に書店という場所が好きなのもあるが、居並ぶ書籍の中から目当ての物を探し出すという宝探しのようなワクワク感、これが堪らなく好きなのだ。
言わずもがな、今回の新刊も必ず書店で手に入れようと思っている。
明るく社交的で、誰とでもすぐに仲良くなってしまうこの作家さま。
そのフットワークの軽さはどんなに忙しくとも健在で、思い立ったら即実行。はたしてこの人は本当にただの人間なのだろうかと、時々そう疑わずにはいられなくなる程だ。
ユーモアに溢れ、いつも周りの人間を楽しませてくれようとする、そのパワフルなサービス精神には感服する他ない。
敬愛してやまない藤白圭さま、どうかお体だけは大切に。
そして益々のご活躍をと祈りながら、私は今日もスマホの画面に指を滑らせる。
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