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月と団子とウサギはセットで。
「お邪魔します」
意外にも礼儀正しいウサギに呆れを越して感心しつつ、部屋に入る。
物は少ないから散らかってはいまいが、その辺に積んである本は邪魔かもしれない、とどかす。
だがウサギはそれを見て、気を遣わなくていい、と言った。
「俺はウサギだからな。あんたの世界じゃ、ペットみたいなもんだろ?」
「いや、まあ……」
なんて返すべきだろうか。
悩む俺を他所に、ウサギはさっさとベランダへと出る。
「そういや酒は何があるんだ?」
「自由だな……」
苦笑交じりに言うと、ウサギは長い耳を揺らしてカッカと笑った。
「今夜限りだ、許せよ。それより酒だ酒」
ポンポン、と床を叩く音に、唸りつつ酒を置いている棚を見上げた。
「安い日本酒、ビール、あとウィスキーくらいならあるが」
「じゃあ日本酒」
月見酒、と言うにはあまりにお粗末だが、ウサギは気にしないらしい。
まだ開いていない瓶と盃、月見団子と、追加で買ったみたらし団子を用意すると、俺もウサギの隣に座って瓶を開けた。
「――あー、生き返る」
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