縁と月日

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玄関で、一人、少し浮かれてへらへらする。 あ。 でも、今、高城さんが来ると言っていた。 圭くんは、仕事の関係で、海斗を紹介しただけと言っていたけれど、実際、高城さんがどう思っているかなんて分からない。 今日のかっこいい圭くんなんか見たら、やっぱり遊び人の海斗より圭くんがいい、なんて思うんじゃないだろうか。 私、この間、変に逃げたし。 変な子認定されていそう。 こんな子より、私がいいわよー、みたいな? そんな妄想に急にオロオロしていたら、圭くんが高城さんと帰ってきた。 「あ、おはようございます!」 挨拶だけは元気にすると、高城さんも「おはようございます! 今日は宜しくお願いします。」と笑顔で返事してくれた。 綺麗な人だけど、優しいらしい。 「この間は、ちゃんと挨拶もせず、失礼しました」 先日の無礼を詫びると、高城さんはちらっと圭くんを見て、手を振った。 「あー、いえいえ、全然。大丈夫です。なんか良かったですね。ちょっと心配だったので」 「あっ。え?心配?」 心配?  誰の? 「まぁ、いいじゃん、ね?ええっと」と圭くんが割り込むと、高城さんは、くすっと笑った。 「焦ってましたよー、川瀬さん。あの後、ずっと、ぼーっとしちゃって。相当、気になったんでしょうね」 え。 気になるとは言ってくれたけど、高城さんも分かるくらい、気にしてたの? 「あ、ああ。そうですか」 「ええっと、あー、まあ、お陰様で……それは、もういいから。高城さん、うちはこんな感じでセッティングで、準備万端です。試飲なんでね、こういうグラス、用意してますけど、一杯じゃなくて一口ぐらいで……」
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