1759人が本棚に入れています
本棚に追加
玄関で、一人、少し浮かれてへらへらする。
あ。
でも、今、高城さんが来ると言っていた。
圭くんは、仕事の関係で、海斗を紹介しただけと言っていたけれど、実際、高城さんがどう思っているかなんて分からない。
今日のかっこいい圭くんなんか見たら、やっぱり遊び人の海斗より圭くんがいい、なんて思うんじゃないだろうか。
私、この間、変に逃げたし。
変な子認定されていそう。
こんな子より、私がいいわよー、みたいな?
そんな妄想に急にオロオロしていたら、圭くんが高城さんと帰ってきた。
「あ、おはようございます!」
挨拶だけは元気にすると、高城さんも「おはようございます! 今日は宜しくお願いします。」と笑顔で返事してくれた。
綺麗な人だけど、優しいらしい。
「この間は、ちゃんと挨拶もせず、失礼しました」
先日の無礼を詫びると、高城さんはちらっと圭くんを見て、手を振った。
「あー、いえいえ、全然。大丈夫です。なんか良かったですね。ちょっと心配だったので」
「あっ。え?心配?」
心配?
誰の?
「まぁ、いいじゃん、ね?ええっと」と圭くんが割り込むと、高城さんは、くすっと笑った。
「焦ってましたよー、川瀬さん。あの後、ずっと、ぼーっとしちゃって。相当、気になったんでしょうね」
え。
気になるとは言ってくれたけど、高城さんも分かるくらい、気にしてたの?
「あ、ああ。そうですか」
「ええっと、あー、まあ、お陰様で……それは、もういいから。高城さん、うちはこんな感じでセッティングで、準備万端です。試飲なんでね、こういうグラス、用意してますけど、一杯じゃなくて一口ぐらいで……」
最初のコメントを投稿しよう!