縁と月日

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圭くんがいつもより早口に説明し始めて、なんだか笑えてきた。 嬉しい。 高城さんも笑っていたけれど、説明を聞いて、いくつか話したり、真面目なやり取りになっていく。 「じゃあ、そういう感じで、お願いします。私、他の皆さんを周って、また昼過ぎに様子見に来れたら来ます。頑張って下さい」 パンフレットによれば、商店街のお肉屋さんが店先で炊飯器ローストビーフの作り方をやるらしく、レコード屋の塩澤さんはビギナー向けの講習を店内でやるらしい。花屋さんなんか、予約制でフラワーアレンジメント教室をするらしい。さっき通りかかったら店先にテーブルを出していたのは、そのためだろう。 商店街が、年末かお祭りのときのように活気づくようで、ワクワクする。 高城さんが出ていくと、もう時間で、圭くんに手順を説明されて案内のボードを店先と蔵へ入りやすい脇道の入り口に置いた。 直ぐに女性二人がやってきて、次に来たカップルと合わせて四人で初めのセッションをした。 私が案内して、圭くんがお酒の説明、試飲を進めていく。 知らない人の前でも、客商売の長い圭くんはさすがに堂々と説明したり、質問に答えていた。 各地のお酒を説明する圭くんは、本当に活き活きして、楽しそうで、見ていて私までワクワクした。
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