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「今日だけ、お手伝いなんです。」
なんとなく気恥ずかしさに、お店のエプロンにちょっと触ると、その女性が「エプロン、可愛いですね。とてもお似合いですよ」と、褒めてくれた。
「あ、ありがとうございます。ふふふ」
なんか嬉しくって、ニヤけてしまった。
そんなニヤけ顔で試飲会を終え、帰っていくお客さんを送り出すと、静かになったダイニングで二人、ほっと息を吐いた。
「陽ちゃん、ありがと。お疲れ様でした」
「どういたしまして。色んな人が来てくれて、楽しかった」
途中、偶然、私の高校の同級生も来たり、商店街の知り合いも顔を出しに来た。今日は本当に商品街のちょっとしたお祭り騒ぎの一日だったと思う。
「陽ちゃん、ちょっとここで待ってて。店の方見てくるけど、お礼に飯、どう?」
「え。良いの?」
「良いよ。何が良い?」
わ。嬉しい。
またデート。
「えっと〜」
「ははは。これでも飲んで、ゆっくり考えといて」
そう言って、私に冷酒を一杯注ぐと、お店の方に向かう。
仕事をする圭くんは、しっかりしてて、大人びている。
御飯、奢ってくれるって言うけど、この間、奢って貰ったばっかりだし。
駅前で安くて、何かいいとこあったかなぁ。
椅子に腰掛けて、綺麗なグラスの中の発泡酒を見つめた。
ふふっ。
さっきの出来事を思い出す。
奥さんじゃないですけどぉ~。
奥さんと間違えられちゃった♡
なんて。
あはは。
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