縁と月日

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にやにやして、携帯をいじって、絵奈ちゃんにメッセージしたり、駅前のお店をチェックしていると、しばらくして圭くんが戻って来た。 「陽ちゃん、悪い」 え? 「知らない間に、姉ちゃん、来てて。親父が寿司取るから、陽ちゃんにもうちで食べてって欲しいって言うんだけど」 「あ。良いの?」 困ったように謝るから、何かと思えば、お寿司のお誘いだった。 彼氏の家族と食事って普通は困るものなのかもだけど、圭くんのおじさんとおばさんなら、商店街の行事で小さい頃から顔なじみだ。 お姉さんの理沙さんも知ってる。 「陽ちゃんさえ良ければ。親父がお礼したいみたいでさ」 二人で出かけるつもりが家族になって、少し申し訳ないと思っているようだった。 「わーい。嬉しい。お寿司、バンザイ!」 ふざけて、軽く手を上げてバンザイしたら、圭くんが目を細めて「ははは。ありがと」と、笑った。 ああ。 格好いい♡ と思ってへらへら笑った瞬間、圭君が突然、一歩距離を詰めて、私を腕の中に引き込んだ。 うわっ 「今度、また二人で飯、いこう」 「……ぅん」 どうにか返事したけども、抱きしめて言う事!?  普通に言ってくれて良いんだけど。 圭君、多分、お客様相手にちょこちょこ飲んでて、酔っている。 そんな至近距離の圭くんの声で、耳が溶けそうだ。 「行こうね?」 ちゃんと返事したけど、ぎゅっと抱きしめられたままで、圭くんの温度と匂いに包まれて、ほっぺがあつくなる。 こんなの、ドキドキして、舞い上がって、おかしくなりそう。 ああ、もう、駄目だ。
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