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小さなバンザイに上げたまま、押しつぶされている腕を少し動かして、そっと圭くんの背中に回す。
「陽ちゃん」
名前を呼ばれて、少し顔を上げたら、ちゅっとおでこにキスされた。
あぅ。
ぎゅーんと、幸せに殺られる。
射抜かれて、恥ずかしくなって、腕に力を入れて抱きついて顔を隠す。
多分、私、顔、真っ赤です、今。
「ははは。可愛いすぎる。どうしようかなぁ」
「!?」
あああああ。
可愛いとか!!
圭くん!?
甘口。
酔って、甘々。
べったりと、甘め。
もう一度、顔を上げると、目があった。
じっと私を見る目は、真剣で、それでいて色っぽい。
こういう目をするんだと、ドキッとして見とれていたら、ゆっくり私の唇を圭くんの唇が捉えた。
軽く触れた温かい唇の感触に、思わず固まって、慌てて目を閉じた。
き、キスした!!
圭くんと、初キス!
軽くキスして、すっと離れた唇の感触に、初キスのドキドキと同時に、もっと圭君に触れたいという気持ちが押し寄せる。
自然と視線が、せがむように圭くんの唇へ吸い寄せられた。
そんな気持ちが私から溢れ出ているのか、圭くんは髪に大きな手を滑り込ませるように、耳から髪を撫でると、もう一度、ゆっくりとキスをした。
唇を合わせて、さっきよりも少し長く。
あー、心臓の音が伝わってしまいそう。
背中に周っていた左手が一瞬ぐっと私を抱きしめてから、ゆっくり唇が離れた。
唇だけのキスなのに、あんまりに興奮して、惚けぇとしてしまった。
まだ呼吸が伝わる位置の圭くんが、ふっと笑った。
「はぁ。駄目だな……」
え。
キスして、駄目?
駄目なんていうから、びっくりして顔を見ると、私を見つめる目はとろけるように甘い。
「離したくなくなる。これからうちの奴らと飯なのに……ハァ」
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