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圭くんに世話を焼かれているうちに、おじさんが上がってきた。
「陽ちゃん、お疲れ様。ありがとね?」
「お疲れ様でした。おじゃましてます!」
慌ててお箸を置いて挨拶すると、座り込んだおじさんは早速冷酒を取ると、私のグラスヘ注いだ。
「しっかり食べてってね。いやぁ、陽ちゃんが一日手伝ってくれるっていうし、どういう事かなと思ってたんだけどさ。本当に、コイツは何にも言わないからさぁー」
はははっと笑って、付き合う事になった事で圭くんを誂う。
「いや、何にも言わないって、昨日、言ったよ」
笑いながらガリを摘んで、圭くんがおじさんに言い返す。
昨日、言ったんだ。
「まぁ、そうだけどなぁ。ははは」
「陽ちゃんなら、気も知れてて良いじゃない。ねぇ」
おばさんがようやく座ったと思ったら、そう言って、なんとなくこの話題をまとめてくれた。
おばさん達がどう思うだろうかと思ったけれど、当たり前といえば当たり前で、私のいるところで姉がどうだとか、今度は妹かとかはっきりとは言わないか。
でも、さすがに何も言わないのも逆に気持ち悪いと思ったのか、理沙さんが「そういえば、紋ちゃん、結婚するって本当?」と姉の話題を持ち出した。
「はい。ちょうど明日、挨拶に来る予定で」
圭くんがどう聞いているのかと、ちらっと見ると、普通にお寿司を口に入れて、もぐもぐすると「あー、紋にこないだ同級会であった時、写真家だとかって、言ってたよ」と情報を付け足した。
「へえー、凄いね。さすが出版社だね。カメラマンかぁ〜」
「ちょっと歳上の人らしいですけど、姉が幸せそうなんで」
「ふ~ん。紋ちゃん、しばらく会ってないなぁ。宜しく言っといてぇ」
「はい」
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