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「お父さん、何もしてないじゃん?私、掃除」
「ハイハイ。行ってきます」
「あっ。きのう、私、おじさんにお寿司ご馳走になったから。会ったらお礼……」
「ハイハイ。分かった」
しょうがないという風に財布片手にでかけて行く父を送り出し、早めの大掃除宜しく、バタバタと片付けをした。
今どきの子供もお絵描きとかするのかなとか思いながらも、色鉛筆を出して、コピー用紙なんかを用意する。
そうやって、片付けているうちに、母がたくさんの食品を買って帰ってきた。
「お父さんは?」
「お酒買いに行って貰ったけど、遅いなぁ」
母とお昼ごはんを食べていたら、父がようやく帰って来た。
「おかえり。遅かったね」
「ん。ちょっとな」
いい加減な返事で自分で冷蔵庫にビールを入れている。
圭くんのとこでずっとおしゃべりしていたんじゃあ、と思うと微妙に気になる。
「あ。陽。ヒロちゃんが昨日、助かったってさ」
「ああ。うん。全然。楽しかったし……」
はっきり両親に言うべきなのか。
父ははっきり言わないけれど、多分おじさんとおしゃべりしてきたからには、聞いたかも。
昨日の夜、お惣菜屋のおじさんに会って付き合ってるって言ったし。もうバレるのは時間の問題だろう。
今日、泊まりの予定だから、その前に自分から言う方がいいだろう。
別に今までの彼氏についても話くらいはしている。
「……あのさ、私、圭くんと、付き合いはじめたんだよね、最近。」
「えっ!?」
母がびっくりして口元を押さえた。
父は普通に平然としている。
「今日、圭くんとこに泊まるし」
続けて早口で言うと母は、私を見たまま、ぽっかーんと口を開けた。
「寝袋探すより、早いから」
言い訳のように付け足すと、父は、「ああ、そうか。悪いね」と軽く頷いた。
「うん」
「えっ、えー?お父さん、知ってたの?」
父と私の間で話が済んだ事に不満げな母は、父が何も言わなかったと文句を言っている。
「お姉ちゃん、来るよ、もうすぐ。道の駅についたって、メッセージ来た」
「あっ、ああ。昼御飯、食べてくるって?」
「うん。昼は食べてくるって。きっと、ゆっくりじゃない?」
姉の話に戻して、話を変える。
「そうよね、2時すぎよね、きっと。お茶菓子出すから、はじめ」
そわそわしている母は、姉達の到着に気を取られてくれた。
父がそんな母の様子に、私を見てこっそり笑った。
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