縁と月日

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こくんとミルクティーを飲んでいる八歳。 お父さんとお母さんの離婚で、円満なシングルペアレントの二人の間を行き来して、今回の父親の再婚ですよ。 何も思う所がないとは限らないけれど、旭ちゃんはただ脚を時折揺らして、ミルクティーを飲んでいた。 そうやって、初めて会った私と世間話をしながら、公園で時間を潰す。 小さいのに、偉い。 「旭ちゃんが、姪っ子になるの、嬉しいよ」 「ん?」 「今度、岳さんがお姉ちゃんと結婚するとさ、岳さんは私のお兄さんになって、旭ちゃんはお兄さんの子供だから、私の姪っ子ってことじゃん?姪っ子居ないから、初。嬉しい」 「あー、うん。おばさんになるね」 あ。。。叔母さんね。 「おばさんじゃなくて、紋ちゃんみたいに、陽ちゃんて呼んでね?まだ若いんで」 「あはは。オバさんって言ってないよ、おばさん? あはは。どっちか分かんない〜。陽ちゃんにする」 「うん。宜しく」 私も何口目かのココアを飲んだ。 熱々のココアが適温になって、温んでいく。 「あ。」 公園のわきの道を圭君の車が戻って来たのが見えた。 こっちを向いたような気がして、軽く手を振ると、今度は私に気がついて車が止まった。 誰だという顔をしている旭ちゃんに「ちょっと待ってね。彼氏なの」と説明して、窓を開けた車へ近づいた。 「陽ちゃん、公園?」 「いや、お姉ちゃんの彼氏の娘さんが暇だろうと思って、公園に」 「あ。ああー、そっか」と、圭君がベンチの旭ちゃんに軽く会釈した。 「配達?」 「ん。そんなとこ。後で迎え行くから。10時位がいい?」 「うん。それくらい。ありがと」 「ん。後で」
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