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いきなり声をかけられたせいで「なんでもないよ」と返した声が上擦っていたのが自分でもわかって、頬に感じている以上に身体が内側から暑くなる。
優太はそれ以上追求してくることはなかったが、どうしても自分の中に芽生えてしまった恥ずかしさを少しでも誤魔化すために微かに流れていたカーオーディオの音量を上げようと手を伸ばす。
普段触らない機械なせいで少し触っただけで思った以上に音量が上がってしまい、自分でも肩を震わせてびっくりしてしまう。
横目で見てたのか優太が少し嬉しそうに「ふふ」と声に出さずに笑ったのが聞こえ、暑くなった体の感覚を誤魔化すためだったのに余計に体温が上がってしまう。
人は本当に驚くと声が出ないんだなとか、恥ずかしさで体温が上がるのはわかっても夏の暑さにやられるのと違って汗はかかないんだなとか自分でも意味のわからないことを考えていると体のほてりも落ち着いてくる。
一度ドリンクホルダーに視線を移すも、レモンスカッシュはもう氷が全て解けてしまって冷たさを得るための役割も果たせそうになく少し残念に思う。
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