届いた先に

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 それからだった。わたしの身に不思議なことが起きたのは。異常なまでの回復を見せたわたしの身体は「寿命」という言葉を使わなくても済むようになった。先生も家族も困惑したものの、しばらくすれば理解を超えて喜んでくれた。  どれだけの寿命が落ちてきたのか分からない。でも、当初の2年より伸びたことは確かだった。そんな中でどれだけのことができるだろうか。何ができるんだろう、そもそもわたしがしたかったことってなんだったっけ。慌てる頭の中を必死で落ち着かせる。もう大丈夫、これからは好きなように生きればいいんだから。    その日からわたしはみんなと同じ普通の生活をおくることになった。入学したての高校では遅れて自己紹介をした。すごく緊張して手が震えた。それでも体調が悪くなることはなく、真っ赤になった顔と震える手だけがわたしを慌てさせた。初めてグラウンドを走った。目に入る砂埃、キシキシになる髪の毛。それでも全力で走れるのは楽しかった。みんなと放課後に残ってやるテスト勉強も、すっごくすっごく楽しくて、まわりのみんなは変な顔をしてたけどそれでも良かった。ただ毎日が楽しくて楽しくて、時間はあっという間に過ぎていった。準備が楽しかった文化祭、意外と活躍できた体育祭。一年生の遠足、二年生の修学旅行、三年生の卒業遠足、どれも心の底から楽しむことが出来た。  けど。
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