届いた先に

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   卒業式の練習中にわたしは倒れた。再び戻った清潔なベッドの上では今まで以上に動けなくなってしまっていた。そう、寿命が来たんだ。与えられた寿命は1年だけだった。与えられたその寿命で身体が元気になったからこそ3年間元気に過ごせたけれど、わたしに与えられた寿命は1年だけだったんだ。そんなに長くないだろうことは分かっていたけど、こんなに早く終わりが来るなんて。元々の寿命よりも長生きできたことを喜ぶべきところで、素直に喜べない。もっと生きたい。もっと遊びたい。もっともっとやりたいことがある。なのにどうして。  すっと、抜ける意識の中わたしは命を手放した。まだやりたいことがたくさんあるのに、そう思い続けながら。  
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