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「ぐハッ!!」
猫というものは夜中に活性化する。狭い部屋の中を全速力で駆け回り、信じられない跳躍を見せたり、とんでもない行為に及んだりする。それを運動会と人は言う。
私のベッドの近くには背の高い本棚があった。別れた男が設置したものだ。常々それを邪魔だと思っていたが、なんとスズはそこに飛び乗り、体操選手よろしく私の腹を目指して着地したらしい。
息ができなかった。て言うか、衝撃が凄すぎて胃酸が込み上げた。スズは体重が6キロ近い。2メートルの高さからそれが落ちてきたのだ。その後も運動会は続き、私は愛しいはずの猫が怖くてたまらなかった。
朝、あまりにやられた場所が痛むから、もしやと思い病院に行った。
左肋骨二本骨折──全治二ヶ月程度と診断された。
今、私はベッドの上で昨夜作ったサンドイッチを食べている。はっきり言って、美味くもなんともない。サボッている間に料理の腕が落ちたことは明白だった。もっとも診断結果のショックも相応にあったから食欲もなかったのだけど。
恋に破れ、母に怒られ、不味いサンドイッチには責められているよう。癒しを求めて同居している猫には負傷させられた。
社会は敵だらけ。
かつての担任の言葉は真実だったとしみじみ思った。
(了)
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