どうして、こうなった?

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そんなこんなで、奏の家に来たんだった。家について、スエットを借りて着替えると、もうそのまま寝てしまったようで記憶がなかった。だけど起きた時布団に入ってたので、奏が寝かせてくれたんだろう。 もう、すっかり酔いは醒めて自分のやらかした大失態が、まざまざと突き刺さり、泣けてくる。何で、この歳になってやらかしてしまったのか。過去にもっとベロベロに酔っ払った時でも、こんな失敗はしたことがなかった。 しかもよりによって、奏の家で……もう、どうしていいかわからなくて、涙が出てくる。 「うっ……うっ……どうしよ……」 しばらく、トイレに籠っていたが何も状況は変わらず、次第に布団は大丈夫なのか心配になり、濡れたパンツとズボンをまた身につけて、奏を起こさないように、静かに出てきたのに、名前を呼ばれてビクッと体が縮こまる。 「依織?大丈夫か?もしかして具合悪い?」 「……んっ、だ……い……じょうぶ……」 「あんまり大丈夫そうな声じゃないけど……だいぶ、トイレに籠ってたよね。どうした?」 奏は、気持ち悪くてトイレに籠っていたと勘違いしているようだったけど、具合が悪いわけではないし、濡れて冷たくなっている下着が自分の失態を強調して、止まっていた涙がまた出てきてしまう。 「んっ……んっ……な、んでも……ない……」 「泣いてる?どうしたんだよ。なんでもなくないだろ。待って、今電気つけるから」 「あっ、いや……」 パッと部屋が明るくなり、奏の視線が濡れている下半身にいっているのに気づき、咄嗟にしゃがむが全てバレてしまったはずだ。 「み、見ないでっ!うっ……うー」 「え、あー依織……その、大丈夫だから。昨日、だいぶ飲んでたし……」 「うっ……うっ……この歳で……普通こんな失敗……しないでしょ……」 少し困惑気味の奏の声を聞くと余計に、情けなさと恥ずかしさで顔を上げることができない。その時、フワッと上から抱きしめられた。 「仕事がかなり、しんどそうだからさ、心と体が悲鳴をあげてるんだよ。気にするなよ。なっ」 「うっ……うっ……ご、ごめん……たぶん、色々汚した……」 「ん?んー……布団は大丈夫みたいだよ。依織が思ってるより、酷いことにはなってないよ」 「え?」 恐る恐る顔を上げると、覗き込んできた奏と目が合う。バツが悪くて目をそらし、先程まで寝ていた布団の方へ目をやると、確かに濡れている様子はなかった。 「なっ。大丈夫だろ。ちょっとチビちゃっただけだよ。とりあえず、着替えるか。あ、シャワー浴びる?」 「ごめん……じゃあ……シャワー……かりる……」 「うん。着替え置いておく」
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