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シャワーに入り、少し体が温まると気持ちも落ち着いてきた。奏が用意してくれた着替えを着て部屋に戻ると水を手渡される。カーテンの隙間から見える外は、もう薄っすら明るくなり始めていた。
「少しは落ち着いたか?」
「あぁ……うん。寝てても良かったのに……」
「うん……あ、パンツ……悪い。買い置きなくて……でも一番綺麗なやつにしたから……」
「ふふっ……そんなに気にしないよ。こっちこそ気を遣わせて、悪い」
「やっと笑った……ふぁ~じゃあ、もうひと眠りするか」
時計を見ると、まだ4時を少し回ったところで、布団に入ればまたすぐに寝れそうだったけど、またやっちゃうんじゃないかと不安になる。
「1人じゃ眠れない?じゃあ、一緒に寝ちゃう?」
「なっ……何言ってんだよ。1人で寝れるよっ」
そう言って、布団に潜るが「そう言うなって」と奏は無理やり布団に入ってくる。奏を布団から追い出そうとするが、後ろからがっちりホールドされてしまい、身動きができない。
「暴れるなって。学生の頃だって、雑魚寝して一緒に寝たこともあっただろ」
「いや……でも、おかしいだろっ」
「おかしくない、おかしくない。ほら、寝るよ。俺はもう眠いんだから」
夜中に起こしてしまい迷惑をかけた手前、さらに奏の睡眠を邪魔するわけにはいかず観念する。奏とこんな状態でいるのは、おかしいと思いながらも奏の体温がじんわり伝わってきて、さっきの不安な気持ちが少し和らぐ。そしてそのまま、意識も薄らいでいった。
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