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灰色の空を否定するように降りしきる、白い雪の数多。
結晶は、差し出した手に、無邪気に何も分かってないように、落ち、身体を溶かす。
不思議と、冷たくない。
冷たくないモノが滾々と地を目指す中、何で、こんなに冬は寒いのか考える。
恐らく、人間が、目から見ることができて、体で感じることで無意識のうちに判別しているからだろう。
何も感じることが出来なかったら、手なんか差し出さないだろう。相手の気持ちを汲み取って理解することをしない人と同じだ。
分からないから、相手の気持ちが分からないから、だけで助けを求めている人達なんか見捨てて、淡々と漠然の中を生きているのだろう。
私が独り住む、ログハウスとでも言うべきか分からない建物の近くで、白い息を吐く。頭上を軽々と越し、消える。喉には、鉄のように冷たい外気が染みる。
すると、葉をなしていない枝だけの木に積もった雪が、ズシリと雪の埃を散らした。野生動物でも出てきたのかなと、侘しい細い木を見る。
それは、
───流れ星だった。
─────冬に横たわる、小さい箒星だった。
ただ、──魅了させる。
流れ星だと語弊が生じるが、そこには、雪に横たわる、
一人の少女がいた。
何時間も動いていないのか、身体の線が見えてこない。
私は焦って、サラサラな雪を掻き分ける。
すると、少女ははっきりと、私の腕を弱く掴んだ。
蒼白な顔を醸し、彼女は震えた枝のような声を出す。
「私の名前は、雪咲、なんです」
「雪咲を、助けて、くれます、か?」
充電が切れたように意識を失った少女を、助けるべく、私は急いで彼女を背中に乗せた。
ぽっかりと空いた穴からは、一輪の待雪草。
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