熱気 2

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そんな和哉にオレは何も言えない。 オレたちは本当に小さい時から一緒で、隠し事なんて出来ないくらい近くにいて、だからたとえ高校が違っても、なんでも話せる関係は変わらないはずだった。 なのにオレは、一成のことを和哉に言えなかった。 逆の立場だったら、オレだって悲しい。 オレをじっと見つめる和哉は、決して怒ってる訳では無い。ただがっかりしてるんだ。オレが隠し事をしたから。 「ごめん、かず」 オレだって和哉に隠し事なんてしたくなかった。恋人が出来たら真っ先に和哉に報告したかった。だけど、始まりはあれで、相手は同性。いくら何でも言える親友だからといって、それを言ってもし引かれてしまったら・・・。そう思ったら言えなかった。 項垂れてしまったオレに、和哉がため息をつく。 「責めてるんじゃない。ただ心配なんだ。お前がオレに隠し事をしないのは知ってるよ。だからこそ、なんでそれを言ってくれないのか・・・もしかしたら人には言えない人が相手なんじゃないかって」 その言葉にどきっとする。 人には言えない相手・・・。 まさにそうだ。一成との関係は、大っぴらには言えない関係だ。 「柚がオレの誘いを断る。それも一回や二回でない時点で、柚に特別な人ができたのは分かったよ。だけどそのことをオレに一向に話さないのを見て、もしかしたらやばい相手なんじゃないかと思ったんだ」 「やばい相手・・・?」 「不倫。学校の先生。ヤンキーの女」 サラッと言った和哉にぎょっとなる。 「違うよっ」 なんだよ最後のヤンキーの女って。 「オレも、お前はそんなやつじゃないって知ってるよ。だけどお前の見た目。完全にヤンキーだろ?金髪にピアス開けて、制服も着崩してさ。どこをどう見ても遊んでるチャラ男だろ?」 確かに否定できない。 「中学はともかく、高校生になったら遊びに行く範囲も広くなるし、時間だって遅くなる。どんな女に引っかかってもおかしくないじゃないか。お前、かなりちょろいし」 大人しく聞いていたオレは最後の言葉に反応する。 「ちょ、ちょろくないわっ」 「ちょろいよ。お前、格好はこうだけど中身は真面目で、勉強しかしてこなかっただろ?あんな偏差値高い学校行って、相変わらず一番とってるだろうが。勢いで迫られてその上甘いことなんて言われた日には、一発で相手に丸め込まれるのがオチだ」 その言い方にムカつくも、ぐうの音も出ない。 全てその通りです。 「それで『恋人とセフレの違いは?』だ。勢いに押されてなし崩しに関係を持ってしまいました、って言ってるようなもんだろ?」 あまりの正確な和哉の予測に、オレはそのままテーブルに突っ伏してしまう。 さすが幼馴染みの親友。訂正する箇所など一切ございません。 「ほら、もう観念してオレにまるっと全部吐きやがれ」 そう言う和哉に隠し事は無駄だと、オレは相手が男であるということはとりあえず伏せて全てを話した。 「・・・じゃあやっぱり、勢いで押されていたしてしまったあとに告白されて、その甘い言葉にその時は自分もその相手が好きだと思って受けたけれど、冷静になって考えたら本当に好きか分からなくなり、でもそれをちゃんと考える間もなく相手にぐいぐい来られてエッチしまくりの夏休みを過ごしたけれど、それが明けてまた冷静に戻ったと」 的確な要約、ありがとうございます。 「気持ちが固まってないのにエッチはするから『セフレ』か・・・。でもなし崩しに始まったとはいえ、ちゃんと告白して受けたんだから付き合ってるでいいんじゃないか?少なくとも相手はそう思ってるだろうし」 そうなんだ。 一成は疑うことなくオレと付き合ってると思ってる。 だからあれから本当にオレへの気持ちは隠さなくなったし、あんなことやこんなことや・・・むにゃむにゃ・・・なこともうれしそうにオレにするんだ。
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