熱気 2

6/11
前へ
/11ページ
次へ
かずって、通常時でもデカかったよな・・・。 そう思ったその時、おでこをデコピンされる。 「なに想像してるんだよ」 バ、バレてる・・・っ。 「まあ、いいけどな。今回はオレも確かめられたし」 その言葉にオレは和哉を見た。 「確かめた?」 何を? 思わずじっと見てしまったオレから視線をずらし、和哉はバツが悪そうにこめかみを掻いた。 何? なんか怪しい。 なおもじっと見ていると、和哉はまた麦茶を一口飲む。 「実はさ。オレにも出来たんだよ」 出来た? 何が? 一瞬なんだろう?と考えたが、この話の流れからして・・・。 「恋人?!」 まさか、和哉にも? 「・・・夏休みに告白されたんだよ」 食い入るように見ているオレの視線から目を逸らし、和哉が言いにくそうに呟く。 「聞いてないよっ」 和哉がオレに隠すなんてっ。と思った瞬間、それまで視線を逸らしていた和哉に睨まれる。 「お前が話させなかったんだろ。オレは何度も話そうとしたさっ」 ・・・そうでした。 夏休み中何度も誘われてたのに、全て断ったのはオレです。 しかも自分のことを棚に上げてしまった・・・。 「ごめん」 和哉は悪くない。 そう思って和哉に素直に頭を下げる。 「まあ、柚の事情も分かったからいいんだけど・・・。それにオレも似たようなもんだし。だから今回、お前のためと言いつつ、オレも自分を試したんだ」 「自分も?」 そう聞いたオレに、今度は和哉が話し出す。 夏休みに告白された和哉は、嫌いでは無い相手のその告白を受けたらしい。 「正直びっくりしたし冗談かと思ったけど、相手は真剣だし、何よりそんなことする人じゃなかったからさ・・・」 だけどいざ付き合いだしたら、どうしたらいいのか分からない。 毎日部活はあるし、デートと言ってもする暇は無い。だから恋人同士になったと言っても、二人の関係はあまり変わらなかった。 「でもある日、すごくそんな雰囲気になってさ」 「雰囲気?」 「キスする雰囲気」 告白から二週間。 夕暮れ時の公園のベンチで話している時に訪れた不意の沈黙。 「・・・したのか?」 「したよ。ていうか、するしかない感じ」 触れ合うだけの軽いキス。 でも一度してしまえば、それは別れる時の恒例の挨拶になり、そして何度もすればキスも深くなる。 「でさ、夏休みも終わって最初の部活が休みの日に、家に誘われたんだ」 キスの次のこの誘いは・・・。 当然家には誰もいない。 「行ったのか?」 なんだかオレの方がどきどきしてきた。 「行ったよ。で、した。昨日」 「昨日?!」 学校の都合で全部の部活が休みだった昨日、呼ばれて行った恋人の家でいたしたらしい。ちなみに今日は日曜日で元々部活は無い。 「で、冷静になって考えちゃったんだよ。お前と同じこと」 相手のことを本当に好きなのかどうか。 和哉も相手から告白されて受けている。その相手は決して嫌悪感を抱く人では無い。そして言われるままに付き合って、雰囲気でキスをして、誘われるままエッチもした。 「嫌いじゃないし、好きだよ。ずっと良くしてもらってたし、一緒にいて楽しい。でもさ、その好きは相手と同じ好きなのだろうか?キスもその先も、そんな雰囲気になったからしただけで、実は同じ状況だったら誰にでもできるんじゃないか、って思ってたら、お前から連絡来てさ。心配もしてたし、 話も聞いてもらいたいと思ってたら・・・」 まさかの同じ悩みの相談だった。 で、相手が誰であれエッチができるシチュエーションになったら出来るのかを試したと言う。 その和哉の告白に、オレはちょっとほっとしてしまう。 いくら幼馴染みの親友と言ってもあそこまでやってくれるなんて・・・と、ちょっと悪く思ってたから・・・。 「でもさ、かずの場合はオレ相手に試しても意味ないんじゃないか?相手がどうのという前に、男だからダメだったのかもしれないだろ?」
/11ページ

最初のコメントを投稿しよう!

261人が本棚に入れています
本棚に追加