熱気 2

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オレはどう見ても女には見えないぞ? なのに和哉は落ち着いて答える。 「いや、合ってる」 ? 「先輩って、部活の先輩なんだ。剣道部の主将」 部活の先輩・・・て、え? オレはびっくりして思わず和哉を凝視する。 だって和哉の学校は男子校・・・。 「マジか・・・」 和哉・・・お前も相手は・・・。 「いや、むしろ男子校のオレよりも、女がいる共学の柚の方が驚きだろ?」 まあ、確かにそうだけど・・・。 「でもさ、柚もそうだと思うけど、男が好きだと言うよりは、相手の人が好きなんだと思う。オレたち別にそんな感じじゃなかっただろ?」 誰かを好きになったことは無いけれど、今までのオレたちはほかの友達と混ざってアイドルの話もしてたし、グラビアとかも見ていた。確かにまだ性欲はなくて自己処理はしてなかったけど、多分何もことが起こっていなければ、普通に女の子でしていたと思う。 いまは自己処理をする間もなく一成としてるけど、一成のことを思うだけで身体は熱くなる。 実はそんな自分に不安を覚えて人気の男性アイドルとかを見て想像してみたけど、身体は全くの無反応だった。 それでも、一成に快楽を教えこまれたから身体が 一成に反応してしまうのかと思っていたけど・・・。 オレは一成がいいんだ。 一成じゃなきゃ嫌だ。 オレは一成がそういう意味で好きなんだ やっと気づけた思い。 和哉も分かったみたいだ。 「相手のこと、ちゃんと好きだって自覚できた?」 オレがそう訊くと、和哉はわずかに頬を赤らめる。 「柚相手にキスしても押し倒しても、全然どきどきしなかったからな」 キスはしてないけど。 「オレも、気持ち悪かったよ」 悪寒走ったし。 本当に嫌そうにオレがそう言うと、和哉はそこまで言うか?とツッコミを入れる。 そうしていつものオレたちに戻ったことに安堵感を思えていると、ふと和哉の顔が真剣なものになる。 「あのさ・・・その・・・柚は初めてした時、どうだった?」 初めてって、あれの初めて? 少しでもからかいを含んでたらぶん殴ってるところだけど、和哉は真剣そのものだった。 「痛かったよ。オレ死ぬかと思ったもの。あれは間違いなく人生で一番痛い出来事だった。本当に痛さで意識が遠のいて、このまま死ぬかと思ったよ」 その言葉に、和哉の顔が青くなる。 そう言えば昨日したって言ってたっけ。 オレは和哉のアレを思い出した。 この流れからして和哉は上だろうから、相手はアレを挿れられたわけで・・・。 「・・・大丈夫だよ。何度もすれば痛くなくなるから」 むしろ気持ちいいしかない。 「とりあえず、相手をちゃんと見ながら動いてやって。自分勝手にがんがんしたらだめだぞ」 そうアドバイスしたけど、和哉はさらに青くなってしまった。 昨日一体、どんな風だったのか。 おそらく初めてだっただろうから、暴走しちゃったのかもしれない。 相手の人が誰だか全く知らないけれど、オレはその人に密かに同情した。 「今日が休みで良かったな。一日寝てれば身体も回復するよ」 オレはそう言って慰めると、和哉の家を後にした。 そして帰りながら一成にメッセージを送る。 自分の気持ちを自覚したら、無性に会いたくなってしまった。 今日は日曜日だけど両親はふたりで出かけていていない。きっと帰ってくるのも遅いだろう。 『会いたい』 そのメッセージに秒で返ってきた返信に、オレの足は走り出す。 『すぐ行くね』 一成の家からうちまでは約40分。なのに走って帰った家の前に一成の姿があった。 「ゆずくん用事があるって分かってたけど、会いたくて近くまで来てたから・・・」 少し照れたようにそう言う一成に今すぐ飛びつきたい。そう思うも家の前でそんなことも出来ず、オレは急いでカギを開けると一成を中に引きずり込んだ。そしてドアが閉まると同時に抱きつく。
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