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あら、どこから見ても女たらしだわ。
いや、そんなふうには見えなかった。
きっと、ああやっていつも店に来た女の人をナンパしてるんじゃないのかしら。
一緒にいた私の友達の感想はまあそんなふうだった。
家に帰り着くと、彼からの電話を待っている自分がいた。そのことがとても愉快な気分で、思わずニッコリしてしまった。まるであこがれのスターに会ったティーンエイジャーのようになったみたいな気がした。実際にはスターとは似ても似つかないけれど、魔法にかかってしまったかのようだった。きっと、誰かを好きになるってこういうことなのかもしれない。自分の周りの世界が少しずつ色づいていき、すべてが特別な意味を持つように感じられた。
空想にふけりながら、まだ恋人でもなんでもないのに、彼と結婚することを想像して胸がぎゅっと締めつけられた。もう、それしかないようにさえ感じるの。でも、そんなことを考えている自分がたまらなく可笑しくなって、何度も笑ってみた。そして、一体いつになったらこんなばかげた夢から抜け出せるのかしら?憧れと苛立ちが入り混じった目で、自分の顔を鏡で見つめていた。
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