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3日が経っても、彼からの連絡がなかった。私は勤め先でお昼のお弁当を箸でつつきながら、彼のことを考えた。
そういえば何かで読んだことがある。女性に電話番号を聞いてかけるのにベストなのは何日目か。
彼もそんなふうに考えて、気を遣っているのかもしれない、なんて、彼から電話がかかってこないからといって、意外に思ったり気落ちしたりしなくてもいいはずなのに、実は仕事をしていても、彼のことが気になってしょうがなかった。
ああ、どうして電話してきてくれないのかしら。ひょっとして電話番号を書き間違えたかな。それとも、なくしたのかも。いいえ、もしかすると、ろくでもない女に言いよってるのかもしれない。
私の心の中で、諦めと熱情がせめぎ合っていた。
はじめは気づかなかったが、現実に戻ると、「なんだかばかみたい。おとぎ話を信じている女の子じゃあるまいし」と声に出してぶつぶつと口ずさむ自分に気づいた。そして、自分がいったいどこまで少女のような気持ちに浸っているのか、うんざりしたようにため息が出た。それは甘さと苦さが混ざり合った、少しの切なさのようだった。
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