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(すげぇな、これじゃあ王様の所までたどり着くのは無理だって……剣と盾に弓矢。銃とかはまだ無い時代なんだな)
タカは想像していたよりも城が巨大であり、兵隊の数の多さにも圧倒されて、思わず食い入るように見てしまっていた。
(いけねぇ、こんなオモチャに見とれてどうすんだよ。これが子供たちの憧れか。奪わないとな)
タカはそう思って周囲を見渡すと、フリースペースという所を見つけて、何かをひらめいた様子でそこに移動した。
到着すると、そこには大量のバラになったトイブロックとアイテムが用意されていて、自由に使用してもよいとのことであった。
タカは、さっそく子供たちの憧れを奪うのに最適だと思える装備品を見つけると、バラのトイブロックで上側が空いた箱を作った。
次に目星をつけた装備品を、あるだけ箱の中に入れると、最優秀作品が展示してある所に戻った。
タカは周囲を見渡して、店員の姿が近くに見当たらないことを確認すると、作品を保護しているガラス製のフタを持ち上げて床に置いた。
そして兵士たちが持っている武器を全て取り上げ、箱の空になっている右半分側に置くと、タカがチョイスした左側半分に入っている新たな武器を兵士たちに持たせていった。
全ての兵隊に新たな武器となるスプーンとフォークを持たせ終えると、タカは満足げに二度笑顔でうなずいて、ガラス製のフタを作品に被せて元の位置に戻した。
「なんだよこいつら、スプーンとフォークでなんの革命をおこそうとしてんだよ」
タカはアレンジした最強の城を食い入るようにして見ていると、小学校中学年ぜんごの、友達同士と思われる男子三人組が彼のそばに寄ってきた。
三人は「トイブロック・最強の城選手権・最優秀作品完全再現〜悪宮タカ・奇跡の緊急コラボ〜」を、タカと一緒に黙って観察していた。
「ねぇお兄さん、なんでスプーンとフォークを持ってるの?」
男子の一人がそう尋ねると、タカは「なんでタメ口なんだよ」と言い威嚇した。
「ごめんなさい。で、なんでスプーンとフォークなの?」
「謝ればいいってもんじゃ、てか、だからなんでタメ口なんだよ。まぁいいよ、これがヒーローの現実なんだよ。特別にこの戦士たちが戦わないでなんて言ってるか教えてやるよ。……オレたちのチャーハンを返せー!」
タカは子供たちに向かって、最後に右手を真上に上げて握りこぶしを作りながらそう叫ぶようにして言うと、走ってその場から去った。タカは背後からは、「どういう意味なの!?」と言う一人の男子の問いが飛んできた。
タカは何も答えずにエスカレーターを下りて行き、店の外に出るとそのまま走り続けた。
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