ギラギラ・ウルフ

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 タカは、手に入れたばかりのカードを「ほら、受けとれ」と言い、陸に手渡した。  陸は「よっしゃぁ」と言って受け取り、カードにプリントされたギラギラ・ウルフを見ると、目をつぶり大きなため息をついた。 「なんでそんな顔するんだよ。嬉しくないのか?」 「……このカード、三枚持ってる。四枚もいらない」 「あんた、あれだけ目を輝かせて欲しいって言ってたでしょうが!」 「お店でかざっているのを見るのと、家で見るのとでは違う」 「まだ店の中なんだし、嘘でもいいから嬉しそうにしてくれって」  タカは皮肉ではなく、本音である。  陸はタカの懇願の表情を理解したのか、「わかった」と言うと、一度舌打ちをした後に、満面の笑みをタカに向けた。 「舌打ちいらなくないっすか」  タカはたじたじである。  タカと陸は、目的の「ギラギラ・ウルフのパンツ」を取り扱っている店舗、というよりは屋台へと到着した。  目的の屋台の店主が、「いらっしゃい! ウチで買った衣服を身に着けて外を歩けば、周りから指を差されること間違いなしでっせぃ!」と、どう受け取ったらよいのか判断しかねる接客をしてきた。  タカは、店主の言った事を疑問に思った直後、「えっ!?」と驚いて店主の顔を指差した。  「どうしたんでぃ、いきなり大きな声なんか出せぇってぃ」  店主が目を丸くしてそう言うと、タカだけではなく陸も同じように驚いていたらしく、店主を指差して、「さっきのおじちゃん!」と大声で言った。  タカは「掛け持ちしてるの?」とききながら、先ほどのトレーディングカード売り場のほうに視線を移すと、半ば強制的にカードを売りつけてきた店主が、客に商品を手渡していた。 「双子なの?」と、タカは子供衣料売り場の店主に向かって問うた。  すると店主は、「馬鹿にしてるんかぃ!」と怒鳴りつけるようにして言った。 「目の前ででかい声出すなって、うるさいって――てかそっくりだろ」 「当たり前でぇ! 兄弟なんだから、似ているに決まっているでぃ!」 「やっぱりそうなんだろ! なんでキレてんだよ! 双子なんだろ!」 「ふざけるない! どこを見て双子なんて言っているんでぃ! あんたの目は節穴かい!」
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