進路相談

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【4】 先生、お疲れさまです。結構長引きましたね。 そういえば、この機会にずっと聞きたかったことがあるんです。先生ってあの時どこにいたんですか? 家、ですか。奥さんと一緒に? あぁ、じゃあ僕と一緒ですね。僕もあの時。 『爆弾が落ちてきた時』 家にいました。それで、家族で僕だけ生き残りました。突然閃光が見えたと思ったら、気づいたら生きているのは僕だけだった。 戦争とか、宣戦布告とか、徴兵とか。そんなことに巻き込まないで欲しかった。 ねぇ、先生。進路相談なんてする意味あります?だって僕ら男はもうすぐ徴兵されるし、女だって戦争のために働かされる。それなのに、将来何になりたいの? なんてバカみたいじゃないですか。 はい、そうです。僕は卒業したら入隊します。別におかしなことじゃないですよね。むしろ、早い方が良いでしょう? やっぱり、先生は良い先生です。生徒の意見を否定しないでくれる。確かにその通りです。未だに平和な日常に取り残されてる人たちは、これからどんなことが起こるかを全然考えられていない。僕のことを変な人とすら言う。 いやでも……そりゃそうか。先生だって突然爆弾が落ちてきて、奥さんが亡くなったんだから、こっち側か。 はい、そうです。僕はちゃんと自分で考えて、自分でこの道が正しいと思いました。だからそれこそ、もう相談なんかする意味ないんですけどね。 そうですね、他に相談したいことか……特にないです。何を言ったって、何を考えたって、戦争はもう始まっちゃったんですから。それに、僕の面談早く終わった方が園田さんの時間もたくさん取れますしね? 彼女、側から見ててちょっと心配ですし。 はい、ありがとうございました。失礼します。
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