テロップが落ちて来る

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その日の夜、いつもの雑多な居酒屋にモズを呼び出した。 もちろん、呑みの相手だ。 「あのクソ部長、何も分かってねぇ!」 ドン!と机にジョッキを置くと、ビールの泡が溢れた。さり気無く拭いてくれる。 「こちとら何個掛け持ちしてると思ってんだ!いくら有能だからって限度があるだろ!部下に振るだけ振って、自分はきっちり定時で帰りやがって!いちいち話が長ぇんだよ!その時間が勿体無いわ!その時間で1・2個進められるのをご・ぞ・ん・じですか?!っての!!」 「うんうん、そうだな。お前は頑張ってるよ」 隣でひたすら相槌を打って、酒を注いでくれるのはモズこと桃住 善。 未だに黒縁メガネだが、大人になっておしゃれな黒縁メガネにグレードアップした。 身長もぐんと伸びたモズは、意外とモテるらしい。人当たり柔らかで優しいとか。 どうでも良いけど。 でも、連絡したら二つ返事で必ず来てくれるのは変わらない。 大概スーツで仕事帰りなのに、こう言う愚痴をいつでも聞いてくれるから、腐れ縁も悪いもんじゃ無いと思う。 こんな時も、長々愚痴ったのが刺々しい赤や黄色のテロップになり、腹部に止まるのが鬱陶しいけど。 さっと払うと、触れないのにモズの手元へ流れて溜まった。
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