私は学校に潜む幽霊

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亮介が職員室にやってきた 加瀬と多田野に挟まれるのは苦痛意外なにものでもない 入室して5分、空間に耐えられず退室 普段、言葉を交わす事がない多田野から 「あ、先生?用事ですか?」 「…」 加瀬は多田野を凝視 「はあ」 亮介が面倒に答える 「留守電に屋上に迷い猫がいるって入っていたんだ。君ーわるいけど見てきてくれるかな。きっと勘違いだと思うんだが」 「どうせカラスかなんかでしょうね。まあでも面倒になるまえに見といたほうがいい」 多田野に加勢する加瀬 「わかりました。見てきます」 面倒な押し付け作業だが、職員室を離れる時間が伸びるのはビックサンクス 猫ちゃん探し、 「迷子の迷子のこねこちゃっ…… 」 どうして屋上にゴミが散らかっているだろうか 風の運び物か 体育館横に道場、足場。 よくは見えない すらっと綺麗な脚 若々しい太もも スカート うちの学生 職員室に電話するが誰も出ない あの2人は早々に喫煙所か!? 頼りになったためしがない 女 亮介には無防備な女という考えが混じった 繁華街で酔い潰れた女の類か? いやあれは 学生で 俺は教師だ 降りてみよう 「ん?」 「あれは」 内心ホッとした 第1発見者が迷いなく来ている 足取りが確か 頼もしい、自分にない頼もしさ、 ここで躊躇している自分が小さく思えた だが、少し違う 足取りが確かすぎやしないか 焦るわけでもない 普段の姿から想像できない闊歩 足の位置につく その人は初めて辺りを確認する 足場の陰ででその人の行動の内容がよくわからない 茂みに隠れた上半身を引き摺り出したようだ 足場の鉄柱にもたれかける態勢にする 一見、安否を確認しているかのようだが その人は笑っている 携帯は警察や病院に連絡するわけではなく現場写真を撮っているではないか その場を離れてようやく典子は警察に連絡をいれた 亮介は自分のクラスの女子がぐったりしているので動転するだけだった 自分が第一発見者だと信じ込み、迅速な対応を取らなかった事で自己嫌悪にかられるようになった
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