魔性の飲み物なり

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入ってきた客がベラベラと高慢地気に話すのをバーテンダーはそつなく会話に付き合ってあげている。 グラスではなく、歴代横綱の顔が描かれた湯呑みが男の前に出された 湯気が上がっている ”hot waterです” 隠れ家バーで白湯!! いいのか? 話の内容、派手なスタイルの客は馬鹿にするなと怒ってくるはず バーテンダーは何もなかったかのように、帰った客のグラスを洗う作業に入った。 口達者な常連は初老のお爺さんのように湯呑みを両手で包み、啜る。 ”あ〜〜〜。いい” !?1? その後の彼は中身の無い自慢話をやめて、一点を見つめて物思いに耽るだけだった。 バーテンダーの自信、確信が凄い。 不思議と? 白湯はいらない!? 目移りはしなくなっていた 欲しがらない 現時点で幸せなんだ "salivate" が体を巡って柔らかな気持ちにさせてくれる この一杯で満足 クチュクチュ、ぺっ ”あっつい、っす、すいません。あれ、一杯で酔ったのかな” ”いいんですよ。人それぞれの酔い方がありますから。拭いておきますね” ”いいえ、自分でやります。えっと、なんて言っていいのか” ”皆様、定まりましたね。当店は毎日来るようなところではありません。 生き方に迷いが出たらいつでもどうぞ”
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