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「そんな厄介なあんたが封じられたことで、困ったことが起きた。前々から神社本庁のやり方に反発していた陰陽師、呪術師たちが明確に反旗を翻したんだよ。そして、姫様の悪用を企てている」
青葉がお前のせいだからなと責任転嫁する。しかし、そんな青葉の態度は蒼鬼の笑いを誘っただけだった。
「へえ。そいつは面白いねえ。明確な敵がいなくなったら、陰陽師同士で内輪揉めか。そりゃあ傑作だ。尤も、俺も敵だったのかな」
さらにはそんなことまで言ってくる。
「黙れ、鬼! 貴様は許されない存在だ!!」
そんな蒼鬼の態度に、ついに我慢の限界に達した時雨が怒鳴る。さらには殴り掛かろうとするので、慌てて月見と青葉が止める羽目になった。
「ちょっと。挑発に乗っちゃ駄目でしょ。この鬼の常套手段じゃない」
「そうだぞ。お前、真面目そうな見た目に反して、けんかっ早いよな」
「ぐっ」
月見と青葉の言い分に、時雨はむっとしたが、ぐぐっと怒りを堪えた。そうだ、相手を挑発するのはこいつのやり口だ。
と、そんな三人の様子を見ていた蒼鬼が、いきなり爆笑し始めた。
「……」
げらげらと笑う鬼に、三人は固まってしまう。
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