蒼鬼と清浄の姫

4/111
32人が本棚に入れています
本棚に追加
/111ページ
「そんな厄介なあんたが封じられたことで、困ったことが起きた。前々から神社本庁のやり方に反発していた陰陽師、呪術師たちが明確に反旗を翻したんだよ。そして、姫様の悪用を企てている」  青葉がお前のせいだからなと責任転嫁する。しかし、そんな青葉の態度は蒼鬼の笑いを誘っただけだった。 「へえ。そいつは面白いねえ。明確な敵がいなくなったら、陰陽師同士で内輪揉めか。そりゃあ傑作だ。尤も、俺も敵だったのかな」  さらにはそんなことまで言ってくる。 「黙れ、鬼! 貴様は許されない存在だ!!」  そんな蒼鬼の態度に、ついに我慢の限界に達した時雨が怒鳴る。さらには殴り掛かろうとするので、慌てて月見と青葉が止める羽目になった。 「ちょっと。挑発に乗っちゃ駄目でしょ。この鬼の常套手段じゃない」 「そうだぞ。お前、真面目そうな見た目に反して、けんかっ早いよな」 「ぐっ」  月見と青葉の言い分に、時雨はむっとしたが、ぐぐっと怒りを堪えた。そうだ、相手を挑発するのはこいつのやり口だ。  と、そんな三人の様子を見ていた蒼鬼が、いきなり爆笑し始めた。 「……」  げらげらと笑う鬼に、三人は固まってしまう。
/111ページ

最初のコメントを投稿しよう!