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いつもの様に仕事を終え、11時にはもう、私は大学の友人2人と落ち合って、コニーランドのゲートをくぐっていた。
3人以上で入場すると割引になるらしく、たぶん人数合わせに誘われたな、と思ったが、悪い気はしなかった。
9時まで忙しく仕事をこなしたけれど、いつもほどの疲れは無かった。爽やかな秋晴れの空気が心地いい。
新しいアトラクションを体験しに行くという2人に、「ごめん、ちょっと疲れてるから、気にせず行ってきて」と嘘をついて見送り、私は中央広場にある、ステージの見える、カフェテラスに座った。
注文した特製キャロットスムージーが、思った以上に美味しかった。
半分まで飲んだところで、軽やかな音楽と共に、子供向けのキャラクターショーが始まった。まだ小学生にも満たない小さな子供たちが吸い寄せられるように据え付けのイスに座り、ステージに上がったキャラクターたちに、手を振っている。はじめて見るキャラクターたちだけど、みんなコニーランドのオリジナルなのだろう。
2カ月前のあの日も、演目は違うけれど、これとよく似たステージがあった。
キャラクターたちはみんな可愛くて、ステージのダンスはとても楽しげだったのに、眺めているうちに急に悲しくなって、涙が止まらなくなったんだ。
自分は心を捩じりあげられたように辛いのに、世界は光を浴びてこんなに眩しい。キラキラしたものは全部自分をすり抜けて行ってしまい、私はこの世にたった一人で取り残される。
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