光の中へ

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 午前4時45分。外はまだ真っ暗だ。  コンビニの制服に着替え、バックルームから店内に入ると、たばこの補充をし終えた三沢君が、こちらをふりむいた。  今日もちゃんと視線は合わない。  極度な人見知りか、恥ずかしがり屋なのだとは思うが、私と交代で深夜のバイトが終わるのだから、少しくらい嬉しそうにしてくれてもいいのに。  事務的に引き継ぎを終えると、彼は安堵したように息を吐き、バックルームに引き上げてしまった。長い前髪から覗く切れ長の目も、通った鼻筋も魅力的なのに、ここまで愛想ないのはちょっともったいないなと、ひとごとながら思った。
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