光の中へ

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 さすがに心配になったのか、大学の友人が、郊外にあるテーマパークに行こうと誘ってくれたのが、今から2カ月前の事だ。  友人に無理やり引っ張り出された朝、ひたすら陽の光が痛かった。  電車内の人も、園内ですれ違う人も、やたらと幸せそうだった。友人は気を使っていろんなアトラクションに誘ってくれたが、陽気なBGMを聞いているうち、とてつもない悲しみが押し寄せて、20歳にもなって、広場の真ん中で泣きだしてしまった事も、昨日のことのように覚えている。  けれど結局のところ、あのテーマパークに行ったことが転機になった。あの日の記憶のお陰で、少しずつ歩けるようになった。  今まで歩いていたような、しっかりした道なのかは分からないが、恐る恐る、頑張って前に進んでいる実感はある。  相変わらず眠りが浅く、早く目が覚めてしまう癖が治らないので、1か月半前に、週に4日、早朝のバイトをすることに決めた。9時に上がって、そのあと大学に行く。  朝の5時というシフトの関係で、私はだいたいいつも三沢君から引き継ぎをされた。  5つも年上の先輩なので、自分の中でもさん付けで呼ぶべきなのだろうが、彼の仕草や容姿がどことなく幼く、弱々しく見えるせいか、自然と「三沢君」が定着してしまった。言葉に出さないように充分気を付けているから、きっと失礼ではないと思う。
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