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幸せだけど不安なんだ
「おはよー」
チュッチュッと音がして、頬を撫でられながら目を覚ます。
「おきた?」
「……うん」
黒い大きな目が間近にあって頷くと、ギュッと抱き締められた。
「おはよー」
「おはよう」
抱き締め合って微笑んでいると、シャッと音がして眩しい朝日が差し込む。
「おはようございます。優希さん」
「お、おはよう」
慌てて上半身を起こしつつ、朝日を浴びてキラキラと輝くその明るい茶髪に目を奪われた。
シンプルな黒のTシャツに黒い革の細身パンツ。
二十代のまだ若々しい肉体に耳に届く心地よい低さの声。
その姿に見惚れていると、
「おはよう、拓翔は?成功?」
窓を開けて空気を入れ換えながら、彼が振り返った。
「せいこー!」
僕の隣に転がっていた大きな目の天使、拓翔は大きく手を挙げてにこにこと笑う。
「じゃあ、トイレに行って“大成功”にしなきゃ!」
「だいせーこーするっ!」
彼がベッドに片膝を乗せて拓翔を抱き上げると、拓翔は振り返ることもなくドアを開けて走っていった。さっきまでギュウギュウと僕に抱きついてきたくせに。
「転ぶぞ」
苦笑いをしながらベットサイドにあるラックに手を伸ばしてメガネを探していると、
「ここ、ですよ?」
不意に手を握られてドキッとすると、更にその綺麗な顔が近づいてきて形のいい唇がピタリと重なった。
「んっ……ふっ……」
すぐにこじ開けられてにゅるりと侵入してきた舌に翻弄される。
「待っ……じょ……く……」
僕の言葉も絡め取られて唾液を流し込まれて溺れてしまいそうだ。
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