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気をつけての理由
暖かい胸の中が心地よくて少しだけ欲が生まれる。
顔を上げて下から見上げると、立川さんはゆっくり顔を近づけてきた。
軽く触れて離れていこうとする唇に首の後ろへ手を伸ばして自ら唇を押し付ける。
「んっ……はっ……」
舌を伸ばして絡めると、唾液を吸い上げるように喉を鳴らされて嬉しくなった。
「たち、かわ……さ……」
口の中いっぱいに満たされながら呼ぶと、立川さんは僕の口の端から溢れた唾液を拭いながら目を合わせてくれる。
「何ですか?」
「萩下さんとも……キス、するんですか?」
「はい?」
パッと表情が険しくなって、あれ?とは思いつつその目を見つめた。
「……昔からのお知り合いなんですよね?」
「美里は専門の時からの後輩。それだけですよ?」
僕の肩にある立川さんの手に力が入る。
「……でも、好みのタイプがって……」
呟くと、グッと顎を持ち上げられてまたキスをされた。
上顎をなぞって熱い舌が深く僕の口内に挿し込まれる。
「ちゃんと俺を見ていて下さい」
口を離した立川さんが泣きそうな顔でこっちを見ていて、僕はその後頭部を引き寄せた。
「見てますよ。でも、話してもらえませんか?萩下さんはただの後輩ですか?気をつけてって……何でですか?」
いい感じにアルコールが回って僕は普段なら抑えるあれこれをそのまま立川さんにぶつける。
ソファーから腰を浮かせて立川さんの頭を抱き締めると、立川さんも僕の腰に腕を回してしがみついてきた。
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