気をつけての理由

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「美里は専門の時の一つ下の後輩で、今の職場でもただの後輩。それは信じて下さい」  立川さんは僕を隣に座らせて体だけこっちに向き直る。 「元カノだった……とかではないんですか?」  聞いた瞬間に立川さんは凄い勢いで首を振った。 「あり得ません!言いましたよね?俺はゲイですって」 「じゃあ、好みのタイプっていうのは?」  聞くと、立川さんはフーと息を吐き出して、観念したようにこっちを見る。 「……俺と美里はいつも好きになる人が一緒なんですよ」 「はい?」 「俺が好きになったり、彼氏ができるといつも美里も好きになって……いつも取られてきたんです」  ムッとしているその顔に手を伸ばすと、チュッと指先にキスをされた。 「美里はずっと花咲さんを美人だって言ってたし。……無意識でも絶対アプローチかけてくるんで関わらないで欲しかったんですよ」  言いながら何度も手にキスを繰り返されて少しくすぐったい。 「でも、僕もゲイですよ?」  軽くキスをして見つめると、立川さんはギュッと僕を抱き締める。 「……元カレもそうでした。でも、美里ともいつの間にか関係を持っていて……美玖ちゃんができていたんですよ」 「それ、萩下さんは?」 「美里があいつと離婚してから話しました。そもそもゲイだったことも知らずに付き合っていたらしいので……本当はあいつがバイだったんでしょうね」  フッと笑って立川さんはテーブルにあるグラスを手にするとグッと一気に飲み干した。
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