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 私のほうが力が強いし、体も大きいはずなのに、動けない。  帯を引き抜かれ、それで手首を頭の上で束ねられた。開いた合わせから外気が触れて、胸の頂がしこりを作る。  何故だかわからない。わからないのに、身体の熱が確かに上がっている。 「おれ、ずっと千歳おにぃに触りたかったんだ。おれより逞しくて、綺麗。乳かたくなってる! かわいい!」 「っ! ァッ! ん、んんん」  乳を抓られて、変な声が出た。  まるで、母様が父様に抱かれてる時のような、甘い声。  いやだ。恥ずかしい。  女のような声が出る。止めさせなきゃいけないのに、手は縛られていて動かない。脚で跳ね除けようとしても、乗っかったままだ。 「千歳おにぃ。声、我慢しなくて良いから。おれに聞かせて」 「ぃっ、やだ! ァッ! ああっ……ん、ンン、は……ぁ……んん」  乳を唇に挟まれて吸われたり、尖らせた舌先でつつかれたり、指で弾かれたり度に腰が浮いてしまう。  こんなに感じるなんて、私は女か?  褌の中で捩れたものがそれを否定する。  違う。私は男なのに。なんで、こんなに。 「千歳おにぃ、舌出して。口吸いしたい」 「ンッんんっ、ふ……、は、ぁ……んっ」  ぬちゅぬちゅ。頭の中を水音が響く。耳を塞がれて、くちづけを繰り返す。  きもちいい。きもちよくて、力が抜ける。腰のあたりが痺れてる。止めさせなきゃ、いけないのに。  夢夏の手が薄い布越しに、私のまらに触れる。息を呑む。 「苦しそうだから出すよ」  褌を取り去られて、冷気が肌に触れる。  自分のまらが勃ち上がって、先からたらたらと透明な汁を出してるのが見えた。  恥ずかしい。恥ずかしくて、嫌だ。  触ってほしいってわかられるのが嫌だ。  夢夏は手に(つばき)を塗りつけてから、私の陰茎(へのこ)を握って、上下に扱く。  一瞬にして、興奮が波のように押し寄せて、攫っていった。  腹の上に精汁が散る。  恥ずかしい恥ずかしい恥ずかしい恥ずかしい! 「わぁ。千歳おにぃ、だいぶ我慢してたんだ」 「は、……ぁ……ゆめ、か……もっ、ゃ……だ……これ、はず、して」 「あいあい」  手首を束ねていた帯が解かれる。  手が使えるようになった。しかし、抵抗なんてできない。身体が痺れている。夢夏に触られる度に、更に痺れてしまう。 「父ちゃんからぬめり薬貰ったから、安心してくれな」 「は? ぃ、いや! ぃやだっ!」  脚を掴まれ、女のように股を開かされる。  普段他人が見ることがない場所を見られる恥ずかしさと言ったら……。  抵抗もできずに、菊座に指先が触れる。腰が浮く。 「や、やだ! 夢夏っ、それ、はぁァッ!」 「ちょっち苦しいかな。そんじゃ、こうすっか!」  身体をひっくり返され、腰を高くするようにされた。雌猫が交尾の時にする体勢だ。  あたたかいものが菊座に触れる。覗きこめば、夢夏が顔を寄せていた。舐めてる? 「夢夏! ばかっ! きたな、ぃっからァッ! ……ひっ、あ、ンッ、ンッンんんーーは、ぁ、ん」  やめてくれない。いっこうに、やめる気配が無い。  菊座に舌を挿されて、指を入れられて、気持ち良い。  嫌だ。(おいど)で、気持ち良くなるなんて、変だ。でも、きもちい。きもちくて、身体がもっと熱くなる。 「えへへっ。父ちゃんのぬめり薬ってやっぱりすげぇや! 千歳おにぃのここ、指がもう三本入った! ほら、わかる? 痛い? 大丈夫?」 「っ。ん、アッ! ーーは、ぁ、んっ、あ、きも、ちい、きもちぃ、からぁ! ゃ、ら。もぅ、やらぁ」 「あれ? 千歳おにぃ、自分でまら弄ってんの? おれがすっから、楽にしてて」 「あっ! アァッ、あー!」  いつの間にか自分でまらを扱いていた。気持ち良くて、わからなくなってきた。  夢夏の手が私のまらに触れる。優しく扱きながら、背中に唇を落とされる。 「もう、入れっから。痛かったら言って」 「え? ぁっ! ひ、んんっ!」  指とは全然違う。  腹の中をごりごりに押し上げられる。夢夏が入ってくる。菊座が勝手に締めつけてしまう。  痛くないが、こわい。これから、どうなるのかわからなくて、こわい。  ぱちゅんっ! と、水音を含んで、肌がぶつかる音がした。 「ひっ! ぁっ、んっ……! ぁ、あ!」 「千歳おにぃ、かわいい」  続けて、ぱちゅぱちゅ、肌と肌がぶつかる音がする。  自分のものとは思えない甘い声が口から零れ落ちる。  恥ずかしい。変な声が出ることも、かわいいと言われることも、なにもかも恥ずかしい。 「きもちぃっ! おにぃ、きもちぃい! おれ、腰、止まんない! 止まんないぃ」 「や、や、ら! ゅ、め、ァッ! 待っ、て! やら……! おくっ!」 「おく? 奥好き? わかった! 奥いっぱい擦る!」 「ちがっ! ぅ!」  違う。ちがう。これ以上奥を触られたら、気持ち良すぎて、おかしくなる!  逃げようとしても、腰を掴まれて、奥に奥に、抉られて、押し付けられる。女ならまだしも、私は男なのに。  何でこんなに腹の中を掻き乱されてるのかわからないし、気持ちよくて、更にわからなくなる。 「あー! アッ! ぁ……、っ……! ゅ、め……! もっ、ゃ……ら」 「きもちい? おにぃ、きもちいの?」  嫌だって言ってるのに、聞こえていないようだ。  もう何度気をやったかわからない。気持ち良くて、わからない。  陰茎(へのこ)を上下に扱かれながら、菊座を拓かれて、わかんなくなる。  夢夏の動きに合わせて、腰が勝手に揺れてしまう自分も嫌だ。  敷布を噛んで我慢しても、甘い声が出てしまうし、嫌だ。 「ゃ、ら! ゅめ、か、もっ……ぉく、や、らぁ! や、ら! ぉくはぁっ! アアッ!」 「もっかい! もっかぃ! もう一番したら終わりにすっから!」  体をひっくり返されて、目が合う。顔を見られることすら恥ずかしいのに。それで菊座を締め付けてしまうのも恥ずかしい。  唇が重なる。口吸いをする。舌をすぱすぱ吸って、絡めて、頭がぼうっとしてくる。 「えへへっ。千歳おにぃ、やっぱり綺麗だ。好きだ。おれ、千歳おにぃのこと、好き。愛してる」 「――ッ!」  もう嫌だ。早く終わって欲しい。早く終わってくれ。  好きって何だ? 愛してるって何だ?  わからない。わからない。わからない。  頭がぼうっとして、白くなって、わからない。  夢夏の背中に腕を回して、腰に脚を絡めるしかできない。  気持ち良い。早く終わって。早く。早く。おかしいから。おかしくなってるから。 「千歳。すき。好き。だいすき」  名前を呼ばれる度に、身体が熱くなる。  嬉しくて、苦しくて、おかしくなる。早く。早く終わって。早く。 「すき。好き。っ、すき! 千歳! 好き! おれのモノになって!」  口を開けば、甘い吐息に変わるから、答えたくない。  恥ずかしい。自分のものとは思えない甘い声が、恥ずかしくて、答えられない。  わからない。あたまがまっしろになる。きもちよくて、わからない。 「夢夏ッ! ――は、ぁっ! ンっんん! ゆっ、アッ、あ!」 「千歳、きもちい? おれのまら、ぎゅうぎゅう締めてくれてる……。離してくんない。おれ、すっごいきもちい。もっと気持ち良くしたげるね? おく、きもちいよね?」 「――ひっ! アッ!」  目の前に星が散った、腰が震える。  まらから勢いよく、白濁が散る。  夢夏は止まってくれない。おかしくなる。こんなの、おかしくなる。 「イッ、てる! もっ、イッてる……からぁ! ぉかし、くなりゅ、かりゃぁ!」 「だいじょーぶ! 千歳がおかしくなっても、おれが面倒見るから! アッ、おれも、イキそ! イクッ! もっ出る! 千歳、受け止めて!」 「――っ、あ、ああああ!」  激しく突き上げられて、一瞬意識がとんだ。  夢夏は私の上に倒れて激しく呼吸を繰り返す。  妹と父様にどう言えば良いんだ、このばか!
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