19人が本棚に入れています
本棚に追加
私のほうが力が強いし、体も大きいはずなのに、動けない。
帯を引き抜かれ、それで手首を頭の上で束ねられた。開いた合わせから外気が触れて、胸の頂がしこりを作る。
何故だかわからない。わからないのに、身体の熱が確かに上がっている。
「おれ、ずっと千歳おにぃに触りたかったんだ。おれより逞しくて、綺麗。乳かたくなってる! かわいい!」
「っ! ァッ! ん、んんん」
乳を抓られて、変な声が出た。
まるで、母様が父様に抱かれてる時のような、甘い声。
いやだ。恥ずかしい。
女のような声が出る。止めさせなきゃいけないのに、手は縛られていて動かない。脚で跳ね除けようとしても、乗っかったままだ。
「千歳おにぃ。声、我慢しなくて良いから。おれに聞かせて」
「ぃっ、やだ! ァッ! ああっ……ん、ンン、は……ぁ……んん」
乳を唇に挟まれて吸われたり、尖らせた舌先でつつかれたり、指で弾かれたり度に腰が浮いてしまう。
こんなに感じるなんて、私は女か?
褌の中で捩れたものがそれを否定する。
違う。私は男なのに。なんで、こんなに。
「千歳おにぃ、舌出して。口吸いしたい」
「ンッんんっ、ふ……、は、ぁ……んっ」
ぬちゅぬちゅ。頭の中を水音が響く。耳を塞がれて、くちづけを繰り返す。
きもちいい。きもちよくて、力が抜ける。腰のあたりが痺れてる。止めさせなきゃ、いけないのに。
夢夏の手が薄い布越しに、私のまらに触れる。息を呑む。
「苦しそうだから出すよ」
褌を取り去られて、冷気が肌に触れる。
自分のまらが勃ち上がって、先からたらたらと透明な汁を出してるのが見えた。
恥ずかしい。恥ずかしくて、嫌だ。
触ってほしいってわかられるのが嫌だ。
夢夏は手に唾を塗りつけてから、私の陰茎を握って、上下に扱く。
一瞬にして、興奮が波のように押し寄せて、攫っていった。
腹の上に精汁が散る。
恥ずかしい恥ずかしい恥ずかしい恥ずかしい!
「わぁ。千歳おにぃ、だいぶ我慢してたんだ」
「は、……ぁ……ゆめ、か……もっ、ゃ……だ……これ、はず、して」
「あいあい」
手首を束ねていた帯が解かれる。
手が使えるようになった。しかし、抵抗なんてできない。身体が痺れている。夢夏に触られる度に、更に痺れてしまう。
「父ちゃんからぬめり薬貰ったから、安心してくれな」
「は? ぃ、いや! ぃやだっ!」
脚を掴まれ、女のように股を開かされる。
普段他人が見ることがない場所を見られる恥ずかしさと言ったら……。
抵抗もできずに、菊座に指先が触れる。腰が浮く。
「や、やだ! 夢夏っ、それ、はぁァッ!」
「ちょっち苦しいかな。そんじゃ、こうすっか!」
身体をひっくり返され、腰を高くするようにされた。雌猫が交尾の時にする体勢だ。
あたたかいものが菊座に触れる。覗きこめば、夢夏が顔を寄せていた。舐めてる?
「夢夏! ばかっ! きたな、ぃっからァッ! ……ひっ、あ、ンッ、ンッンんんーーは、ぁ、ん」
やめてくれない。いっこうに、やめる気配が無い。
菊座に舌を挿されて、指を入れられて、気持ち良い。
嫌だ。尻で、気持ち良くなるなんて、変だ。でも、きもちい。きもちくて、身体がもっと熱くなる。
「えへへっ。父ちゃんのぬめり薬ってやっぱりすげぇや! 千歳おにぃのここ、指がもう三本入った! ほら、わかる? 痛い? 大丈夫?」
「っ。ん、アッ! ーーは、ぁ、んっ、あ、きも、ちい、きもちぃ、からぁ! ゃ、ら。もぅ、やらぁ」
「あれ? 千歳おにぃ、自分でまら弄ってんの? おれがすっから、楽にしてて」
「あっ! アァッ、あー!」
いつの間にか自分でまらを扱いていた。気持ち良くて、わからなくなってきた。
夢夏の手が私のまらに触れる。優しく扱きながら、背中に唇を落とされる。
「もう、入れっから。痛かったら言って」
「え? ぁっ! ひ、んんっ!」
指とは全然違う。
腹の中をごりごりに押し上げられる。夢夏が入ってくる。菊座が勝手に締めつけてしまう。
痛くないが、こわい。これから、どうなるのかわからなくて、こわい。
ぱちゅんっ! と、水音を含んで、肌がぶつかる音がした。
「ひっ! ぁっ、んっ……! ぁ、あ!」
「千歳おにぃ、かわいい」
続けて、ぱちゅぱちゅ、肌と肌がぶつかる音がする。
自分のものとは思えない甘い声が口から零れ落ちる。
恥ずかしい。変な声が出ることも、かわいいと言われることも、なにもかも恥ずかしい。
「きもちぃっ! おにぃ、きもちぃい! おれ、腰、止まんない! 止まんないぃ」
「や、や、ら! ゅ、め、ァッ! 待っ、て! やら……! おくっ!」
「おく? 奥好き? わかった! 奥いっぱい擦る!」
「ちがっ! ぅ!」
違う。ちがう。これ以上奥を触られたら、気持ち良すぎて、おかしくなる!
逃げようとしても、腰を掴まれて、奥に奥に、抉られて、押し付けられる。女ならまだしも、私は男なのに。
何でこんなに腹の中を掻き乱されてるのかわからないし、気持ちよくて、更にわからなくなる。
「あー! アッ! ぁ……、っ……! ゅ、め……! もっ、ゃ……ら」
「きもちい? おにぃ、きもちいの?」
嫌だって言ってるのに、聞こえていないようだ。
もう何度気をやったかわからない。気持ち良くて、わからない。
陰茎を上下に扱かれながら、菊座を拓かれて、わかんなくなる。
夢夏の動きに合わせて、腰が勝手に揺れてしまう自分も嫌だ。
敷布を噛んで我慢しても、甘い声が出てしまうし、嫌だ。
「ゃ、ら! ゅめ、か、もっ……ぉく、や、らぁ! や、ら! ぉくはぁっ! アアッ!」
「もっかい! もっかぃ! もう一番したら終わりにすっから!」
体をひっくり返されて、目が合う。顔を見られることすら恥ずかしいのに。それで菊座を締め付けてしまうのも恥ずかしい。
唇が重なる。口吸いをする。舌をすぱすぱ吸って、絡めて、頭がぼうっとしてくる。
「えへへっ。千歳おにぃ、やっぱり綺麗だ。好きだ。おれ、千歳おにぃのこと、好き。愛してる」
「――ッ!」
もう嫌だ。早く終わって欲しい。早く終わってくれ。
好きって何だ? 愛してるって何だ?
わからない。わからない。わからない。
頭がぼうっとして、白くなって、わからない。
夢夏の背中に腕を回して、腰に脚を絡めるしかできない。
気持ち良い。早く終わって。早く。早く。おかしいから。おかしくなってるから。
「千歳。すき。好き。だいすき」
名前を呼ばれる度に、身体が熱くなる。
嬉しくて、苦しくて、おかしくなる。早く。早く終わって。早く。
「すき。好き。っ、すき! 千歳! 好き! おれのモノになって!」
口を開けば、甘い吐息に変わるから、答えたくない。
恥ずかしい。自分のものとは思えない甘い声が、恥ずかしくて、答えられない。
わからない。あたまがまっしろになる。きもちよくて、わからない。
「夢夏ッ! ――は、ぁっ! ンっんん! ゆっ、アッ、あ!」
「千歳、きもちい? おれのまら、ぎゅうぎゅう締めてくれてる……。離してくんない。おれ、すっごいきもちい。もっと気持ち良くしたげるね? おく、きもちいよね?」
「――ひっ! アッ!」
目の前に星が散った、腰が震える。
まらから勢いよく、白濁が散る。
夢夏は止まってくれない。おかしくなる。こんなの、おかしくなる。
「イッ、てる! もっ、イッてる……からぁ! ぉかし、くなりゅ、かりゃぁ!」
「だいじょーぶ! 千歳がおかしくなっても、おれが面倒見るから! アッ、おれも、イキそ! イクッ! もっ出る! 千歳、受け止めて!」
「――っ、あ、ああああ!」
激しく突き上げられて、一瞬意識がとんだ。
夢夏は私の上に倒れて激しく呼吸を繰り返す。
妹と父様にどう言えば良いんだ、このばか!
最初のコメントを投稿しよう!