嫉妬心から

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嫉妬心から

浮気を問い詰めることができないのは、真澄を失いたくないからだと気づいた。何があっても、真澄を手放したくない。 ___じゃあ、どうする?浮気を見逃すのか? 風呂上がりの、パジャマ姿の真澄を見つめる。僕が今目の前でこんなことを考えているなんて、夢にも思わないだろう。 「ねぇ、お湯はりしてあったのに、入らなかったの?ちょっとぬるくなってるわよ」 冷蔵庫から真澄もビールを出している。プシュッと音がして、グラスに注ぐ。 「あぁ、うん、喉が渇いて先に飲んじゃったから、お風呂はまだなんだよ。ていうか、飲んできたんじゃないの?」 あの男と、とは言わないけど。 「それがね、少し飲んだけど久しぶりで喋りまくってたから、酔いも覚めたし疲れちゃった」 「ふーん……」 できるだけ、つっけんどんに返事をする。喋り疲れではなくて、ベッドで激しかったからじゃないのか?なんて、心では言ってみるけど顔には出さない。そんな僕のことなんてお構いなしに、スマホをいじりだす真澄。 「今日はたのし、かった、またね、と。送信」 夫の僕の前で、平然と浮気相手にLINEを送っている真澄を見ていると、狂い出しそうなほどの嫉妬心が湧き上がる。目の前にいる真澄と、手の中のスマホ画面のさっきの真澄を見比べる。 ___僕の前では、こんな顔はしない 写真の真澄には、匂い立つほどの色気のような妖艶な雰囲気が漂っている。でも、目の前の真澄には、そんな雰囲気は微塵もない。 「ね、どうかな?今夜あたり……」 無性に真澄を抱きたくなった。僕の妻だということを体を使って確かめたくなった。それに、あの男の痕跡を真澄の体から消し去りたい衝動に駆られた。 「…え?今夜?」 「そう、いいよね?」 「ちょっ!」 真澄の返事も待たずに、その手を取り寝室へ引っ張り込む。 「え?どうしたの?ね?」 少し驚いたような真澄の声。それも無視して僕は真澄をベッドに押し倒して、手荒くパジャマと下着を剥ぎ取る。 ___この体に、アイツが……! 写真の男が頭に浮かび、真澄と激しく絡み合う場面が妄想で頭に浮かぶ。その妄想よりも激しく強く荒く、真澄に覆いかぶさり貪るように愛撫を続ける。 「あっ、ねぇってば……」 何か言いたそうな真澄の唇を唇で塞ぎ、呼吸もできないほどのキスを繰り返す。 「あ……」 真澄の中心からは、滴るほどの蜜が溢れ出してきた。それさえもさっきの男のせいだと思うと、もう自分でもわけがわからないくらいに、真澄を攻めたてていた。 ___僕らしくないセックスだ そう思うどこか理性的な自分が、少し高い位置からベッドを見下ろしている、そんな気がした。 そのまま何度か交わり、気がついた時には朝だった。
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