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検査結果
「やっと静かになったわね。そうそう、話の続きね。あなた、何かの再検査したでしょ?その結果を病院に聞きにきて欲しいって、その病院から電話があったの」
「なっ、なんでそれを早く言わないんだ!」
「だ、か、ら!連絡したくてもできなかったってば。できるだけ早く、ご家族と一緒に来てくださいってことだったわよ。でも私はもう家族じゃないから、一緒には行けないわ」
___本当は、家族は不要だと言われてるけど、伝言って間違えることもあるしね
私の話を聞いて、和樹の顔色が変わった。
「え?……家族も?」
「うん、そう。何か大事な話かもね。大きな病気とか?そこの、新しい家族になるって言ってる人と一緒に行けばいいでしょ?」
「………」
黙り込んだ和樹は、胸の辺りをさすっている。胃炎は治っていないのだろうか。
「和くん、検査ってなんのこと?」
不安げな言い方で桃子が訊く。
「あ、いや、大したことないよ、ただの胃炎。ほら、最近ストレスが多かったから…」
なんとか平静を保とうとする和樹。こういう時にはとことん小心者になることを、私は知っている。私が、和樹と夫婦でいた期間に知り得た和樹の性格だ。
「でも、ご家族もって…」
「そうね、何か重大なことが話されるかもね」
不安がる二人に、私は追い討ちをかける。
「あ、そうそう!薬とか出てないの?効能書きを見て効能を調べればわかるんじゃない?」
「あ!」
和樹は立ち上がって、薬袋を探した。しばらくガサガサやってやっと見つけたようだ。
「あれ?効能書きがあったはずなのに、ないや」
___捨てましたから、私が。言わないけど
「桃子、知らないか?ここら辺にあったと思うんだけど…」
「知らないわ、片付けた時、捨てちゃったんじゃないの?」
「えー、もうっ!」
不安と焦りで苛立つ和樹。
___こんなに情けない人だったっけ?
元、我が夫ながら、ガッカリだ。
「あのさ、そんなのネットでその薬の名前を調べたら、なんの薬かくらいわかるんじゃないの?」
見かねた私が口を出す。
「あ、そうか!」
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