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衝撃の事実(?)を知って、黙り込む和樹と桃子。私はそんな二人を、ただ傍観している。この状況でも、この二人は添い遂げると言うだろうか?それとも……。
「ま、まぁ、発見が早いはずだから、治るよ。それにいざというときの保険もある」
「そう…よね。うん…」
___ほら、きた!
「ねぇ、忘れてない?保険は全て娘たちに名義を変えたでしょ?いざというときに和樹さん、あなたの力になってくれるのは、そこの女性だけよ」
「え?どういうこと?和くん!」
「あら、何も聞いてなかったの?そんなに仲良しなのに。離婚するときの約束で、貯金もほとんどもらったわよ、養育費の額も決めたし。覚書もあるわよ、和樹さんの署名入りの」
私の発言に、慌てた様子の和樹。
「そ、そうなんだ、でも大丈夫だよ、この家は僕のものだし、これからバンバン働くから」
「そう…じゃあ、いいか…」
ぎこちなく笑う桃子。
「うん、いざとなったら土地ごと売って家賃の低いところへ引っ越せばいい」
いい解決策を見つけた、そんな顔の和樹に一言、言っておくことにする。
「そうね、ローンより価値が下がった家みたいだから、どれくらいで売れるかわからないけど」
「え?価値が下がった?」
「あら、そんなことも知らなかったの?あなたは知ってて、それでも優しいからローンごと家を引き取ってくれたんだと思ってたわ」
「………」
「…………」
桃子も和樹も黙り込んだ。
___さぁ、どうする?
まるで、最後の審判を待つような気分だ。審判が下されるのは、私を蔑ろにしたこの二人。私はそれを見届けるだけ。
二人は、なかなか次の言葉が見つからないようで、重く静かな時間が流れていく。
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