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--第三のコース。桐谷大和くん --はい!  小学校の運動会。二年生になった大和は、友達に囲まれて、元気に笑顔いっぱいで走り回っていた。もう私が入る余地など無さそうだ。  見違えるほど大きくなった大和を目に焼き付けた。それはもう眩しいほど幸せそうに見えた。  運動会も終わり、私は余韻に浸りながら自販機でドリンクを買った。 「バイバーイ」 「ばいばーい」  しゃがんでドリンクを取り出していると元気な声が聞こえて、そちらを目を向けた。私の視線の先には大和がいた。 「ママー」  こちらを向いた大和が満面の笑顔で駆けてきた。 「やまとー」  両手を広げようとした時、私の後ろから大和を呼ぶ声がした。大和は私の横を駆け抜けていった。
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